独居老人の「住まい終い」40年後の団地引き渡し 人生100年時代を生きる

明日の月命日の前に、亡くなった母の自宅を公団に引き渡し作業がすべて終わりました。


母は、この団地に越して来て40年、建て替えたこの部屋で18年過ごしました。

私はその最初の15年で出てしまったのですが、高校ー大学時代を過ごした建て替え前の団地を思い出します。

この団地は老人世帯が多く、独居の老人に対して近所づきあいで助け合うという、新しいの日本の近所付き合いが形成されていました。母も定年後は多くの人をお手伝いし、逆に腰が悪くなってからは、おかずをもらったり、ごみを出してもらったりと、相互扶助ができている環境でした。

老人ホームに入るという選択を最後までしなかったのは、この暖かいコミュニティを奪ってしまうと、最晩年が寂しくなる可能性が高いと、母と相談して決めました。親戚には老人ホームの人間関係で悩みながら最期を送った方が少ないありません。そこで、ケアマネージャーさん、医師と看護師さん、デイセンターの方々とサポートチームを作り、連携しながら、この団地コミュニティを主体にしたケアチームを創って、見守りました。

団地の引き上げは、あっさりしたものでした。

遺品整理の業者さんが丁寧に仕事をしてくれたので、ほぼ原状復帰は終わっており、今日は朝から雑巾がけをして、最後の掃除をしました。

死亡時退去でも転居の場合と同じく、電気、ガス、水道などを止め、郵便の差し止め、電話とNHKの契約満了を行い、公団の立会い査定、敷金からの修繕費の引き落としなど、すべきことはあまり変わりませんでした。

引き渡しの後にご近所の皆さんに最後のあいさつ回りをして、この団地との40年に渡る関係も円満に終了しました。

 

母は、自宅死だったので、その状況を聞かれましたが、今年は、団地での自宅死が多いそうです。特段に寒い冬だからなのか、コロナの影響なのかは不明とのことです。


でも、この団地のほかの皆さんの家族構成をみても、今後の日本ではこうした団地で老人の独居または夫婦どちらかの老衰による死亡が急激に増えていくのだと思います。

人口減社会という単純な社会学の定義の裏には、自分の世代も含めた「老人の大量死の時代」という厳しい現実が織り込まれていることを実感します。

 

 


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