アフターコロナのリアルセミナー
秋になり、政府もコロナに対しては緩和の方向で、東京創業ステーションでもリアルのセミナーが復活しています。
今週だけで、立川で1回、丸の内で1回のオンサイト・セミナーを受講しました。
コロナでのオンライン聴講を経て、こうして再びリアルのセミナーを体験してみると、そのまますべてがリアルには戻らないだろうなと感じます。
大学講義みたいな聴講だけなら、移動時間もなくPCでスクショを取りながらできるので、オンラインで十分。
さらに言えばリアルタイムの必要もなく、オンデマンドにして、2倍速で聞きたいレベルのモノも少なくありません。
またリアル開催は、社会人対象になると開始時間が19時過ぎで、2時間のセミナーの終了が21時、帰宅するのが22時過ぎになります。食事が終わったのが22時!ですよ。コロナ前なら普通だけど、これ、いまや耐えられない!
今後は、オンサイト、オンラインの各々の特性を見極めて検討しなければならないと感じました。
今日は、「ビジネスゲームM-Cassを使った経営数字と分析セミナー」というセミナーに参加しました。
これは、まさにリアルで、メンバーとワイワイやりたい内容でした。行って正解!
決算書シミュレーションゲームを体験する
使用されたゲームは株式会社M-Cassで開発されたその名も「M-Cass(ミニ)」でした。
まさに経営方針から、出資、仕入れ、販売、決算を一通りすごろくで体験し、その都度の売り上げや仕入れを仕分けして、最後には貸借対照表とROAを導き出すという内容でした。
大まかにいうと、取引を8回して、それを仕分けし、最後に決算書に反映し、その情報で経営判断するゲームです。
詳細はこちら
M-Cass研修のご案内【研修のご依頼・研修会参加お申し込み】
通常版は3時間コースの研修とのことですが、今回はミニ版で1時間半程度で取引8回を一回転しました。
加えて、決算についてのミニセミナーが30分がついての2時間の講座でした。
赤字の会社は66.6% 彼らは経営数字が見えていない
「起業するぞ!」って勢いはいいんですが、全企業のうち赤字の会社が66.6%にも上ります。
経営数字が理解できていない会社経営は、暗闇の夜間飛行を計器盤を見ないでするのと同じ行為。
「賢い経営者は、決算書の経営数字を見ながら、運行するものだ」という前置きでした。。
決算書は、あなたの会社の今の経営状況を教えてくれます。
ということで、複式記入の仕訳帳から、貸借対照表を作成して、ROAを計算して、3チームで利益額とROAの数値を競いました。
まず決算書の3要素が強調されて説明されました。
3要素とはつまり、資産の部、負債の部、純資産の部です。
取引ごとに、この3要素がどう動いていくかを体感し、3部門の健全性を貸借対照表から読み解くことができる力を養うことが、ゲームの目的です。
決算書ゲームの概要
チームは3名。
ひとりがCEO(最高経営責任者)、もう一人がCFO(最高財務責任者)、そして最後がCPA(Certified Public Accountant:経営アドバイザー)の役割です。
シミュレーション経営としては、「PC販売の会社」を経営します。
商品は、「ノートPC、タブレット、デスクトップ」の3種類を販売します。
すごろくのステージは4つあります。
資金調達ステージ → 商品仕入れステージ → 商品販売ステージ → 経費支払いステージ
各々に2つずつのタスクがあり、毎回、サイコロを振ってその数字を偶発的に重ねていきます。
その場でチームで、経営判断する
リアルイベントである必要があるのは、チームメンバーと相談する必要があるからです。
毎回のタスクについては、サイコロで最大値が決められるのですが、その範囲で自由に選択して、数値を決定できるのです。ここが討論のしどころでした。
例えば、商品仕入れのサイコロ係数が5で、最大20個の仕入れができるけど、現在は資金が少ないから15個にする、というような経営判断がチームに任されています。
ここが、とても面白かった。
もとより、東京創業ステーションを利用するメンバーなので、すでに起業を検討して、ある程度の基礎知識があり、かつ、経営や経理の重要性に気付いている人がそこにいます。このトーンセッティングは重要で、知識ゼロの人がいたり、興味関心のない人が参加していると、このゲーム、説明に時間がかかると思います。
今日のメンバーはとても知的で、ポジティブで、ワイワイ相談するのが好きな方だったので、とてもスムーズにいきました。
その場で取引を仕分けする。
写真を見ていただければ明快ですが、資金調達、商品仕入れ、商品販売、経費支払いに各ステージで2回ずつの「取引」が発生します。それを貸方、借方で1行ずつに仕分けして、仕訳票に記載します。
時間制限があるので、結構、細かい処理が追い付かなくなり、基礎知識のない部分が露呈します。
自分は、販売の利益と原価の関係をしっかり区別できなくて、計算がぐちゃぐちゃになりました。
メンバーの方に助けてもらって、答え合わせしながら、進めていくことができたので助かりました。
しかし、この「販売の利益と原価の関係」はしっかり復習するつもりです。
1年間の取引が終わったら、取引カードを張り替えて、貸借対照表を作る
すべての取引は、1Pの仕訳帳に、付箋カードとして「貸方」と「借方」に区別されていたのですが、最後にこれを貸借対照表の部門ごとに、張り替えていきます。
1.資産の部
①現金
②商品
③建物・備品・車両
2.負債の部
①借金
3.純資産の部:
①資本金
②利益
エクセルなどが自動でやってくれるパートですが、自分の手で張り替えることで、「取引」の実態を伴って、貸借対照表が埋められていく感覚を体感できます。この感覚、実感は大事だと感じました。
この体感があれば、計算間違いの時に、あそこだって!いう直感が身につく気がします。
貸借対照表として可視化し、業績評価をする
最後に、それぞれの部門の合計数値を貸借対照表に書き込み、資産=負債+純資産になっているかの検算をします。
そして、利益額を確定します。
ROA(総資産利益率)を自分のモノにする
このセミナーでは、利益額だけではなくて、経営判断に役立つ指標としてROAを重視していました。
ROAは、「Return on Assets」の頭文字を取った略語で、「企業が資産を使ってどれくらい効率よく利益を得ているか」をみる総資産利益率と言われます。
当期純利益を総資産で割るというのが一般的な説明ですが、この講座ではもう一歩踏み込んで「ROAは、経営分析のために、2つの部分に分かれます」という説明がされました。
つまりROAは「売上高利益率 × 総資産回転率」に分解できるということです。
以下の式になります。
ROA = 当期純利益/総資産
=(当期純利益/売上高)×(売上高/総資産)
前の(当期純利益/売上高)の部分は、「売上高利益率」と呼び、
後ろの(売上高/総資産)の部分は、「総資本回転率」と呼びます。
「当期純利益/売上高」はなにを意味するか?
その会社の「売上高利益率」を可視化しています。売上高に占める利益の割合です。
例えば、売上高が2千億円で純利益が2百億円であれば、売上高利益率は10%です。
この数値が高ければ高いほど、付加価値の高い商品を売って効率よく稼いでいる状態です。
「売上高/総資産」はなにを意味するか?
その会社の「総資産回転率」を可視化しています。
総資産に対してどの程度の売上を達成したのかという指標です。
例えば、売上高が1千億円で資産が8百億円であれば、総資産回転率は1.25倍(1,000億円 ÷ 800億円)です。
この数値が高ければ、資産を効率よく使っている状態です。
一般的に、総資産回転率の目安は1倍以上です。ただし、設備投資を必要としない企業では、総資産回転率が3倍以上になるとのことです。
ROAと言われてしまうと、株式投資の時の検討指標みたいに聞こえてしまいますが、最初に指摘されたように「決算書の経営数字を見ながら、会社を運行する」ための武器として考えるように、なってきました。
会社は付加価値を生み出しているのか、同業他社と比べて劣っていないのかを確認したり、資産を効率よく使っていることを出資者に見える化しておくことは、とても重要だと思います。
参考
総資産利益率(ROA)とは?計算方法や経営指標としての目安、改善する方法を解説 【クレジットカードのことならCredictionary】 (saisoncard.co.jp)
企業の収益力をはかるROAを分解!総資産回転率・売上高利益率の分析方法を紹介。 | マネリテ!「株式投資初心者の勉強 虎の巻」 (manelite.jp)
チームの結果はいかに!
今回は、3チームあったのですが、利益については結構な差が出ました。ROAも同様に差が出ました。
我がAチームは利益、ROAともにトップで、総合優勝をとれました!
シミュレーションですから、失敗したほうが学びになりますし、みんなでその都度、協議して、合意していった経験は貴重な糧になります。
今年は、シニア起業に向けて、なるべく「るつぼ体験を多くする」方針でしたので、この決算書ゲームを心の底から楽しみました。
毎度毎度ですが、東京創業ステーションさん、どうもありがとうございます。
“【体験談】決算書ゲーム 体感的に企業経営の数字を学ぶ ” への1件のコメント
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