【体験談】経済学を学び直す リカレント教育&リスキリング実践法

学び直しの時代 リカレント教育&リスキリング実践法をお教えします

企業にいた時は日常スキルとして、マーケティングを活用していたのですが、じゃぁそのベースになる経済をちゃんと理解していたかというという自信が持てないままでした。そこでアーリーリタイアでできた自由時間を利用して、経済学の概論を学び直ししてみようと考えました。大学で経済学概論を取ったのが、18歳だから、40年振りの学び直しです。まさにリカレント教育のお手本!みたい。こうやって向学心の衰えないシニアとして、生涯貫きたいものです。

リカレント教育&リスキリング実践法

 

参考書は「アメリカの高校生が学ぶ経済学」

 

教科書に選んだのは、「アメリカの高校生が学ぶ経済学」というアメリカの教科書です。

気になって10年ほど前に購入したけど、時間がなくて積読にしてました。今回は、日本の経済学の教える方向性とアメリカの教育方針を比較できれば面白いと思いました。

甥っ子が今春、経営学部に進学し、経済学概論をいずれ履修すると思うので、いつかその比較論で話ができれば面白いだろうなぁと期待するものもありました。

 

具体的なメソッド1:学習内容の総体を見える化する「1冊1P」

自分流の学びの方法ですが、こうした広範囲の対象の場合、全文を最初から逐次で読むということはしません。

まずは目次を書き出します。

この目次の段階で、自分の既知のパートと未知のパートに区分します。

既知のパートで全て理解しており、他人に説明出来るレベルの領域は読む必要がないので、そこを簡略化します。

また未知パートでも、想像が可能な項目と、全く想像すらできない項目に分けます。

目次整理で目処をつけたら、1冊1Pという方法で、この書籍を「見える化」します。

 

1冊を1枚に見える化した全貌

https://note.com/q_do/n/nfb0c062a8299

 

経験上、未知の領域が多い場合は、事前に大枠と詳細の2枚の地図を別に用意します。

知らないことはいっぱいメモしたくなるからです。

でも書き込みが多くなると分かりづらくなるので、本の構造理解の為の大枠図では要素をなるべくシンプルにします。

今回の場合、大枠図の骨になるのは、ミクロ経済学とマクロ経済学、加えて国際経済学の関係性でした。

 

経済学的な意思決定のフレームワークの概念を日常生活に適用する

 

そして、前置きや、訳者まとめ、帯や宣伝文などを注意深く読んで、著者の立ち位置や本書が主張するメインポイントを1枚の地図の東西南北に書き込みます。

この著作の場合、最重要なのことは、「経済学的な意思決定のフレームワークの概念を知り、それを日常生活に適用する」ことでした。高校生に経済学を基礎理解させ、さらに実践活用に指導していこうとしています。

 

そこで地図の下部に基礎を置き、次第に実践に向かうように上部へ向けて高度化するイメージの地図ができました。

 

経済学=希少性の学問+課税と金利を活用した経済の政治学

 

大きく言うと、ミクロ経済学の真髄を「希少性の学問」として考え、マクロ経済学の真髄を「課税と金利を活用した経済の政治学」と考えるように設計されています。

地図としてはこれをミクロ・マクロのそれぞれに、横展開していくことになります。

日本との違いは、経済統治者と労働者に加えて、どんな場面でも「起業家」がクローズアップされていることでした。企業を起こし、経済を回しているのは、実質「起業家」であり、それを政府として支援する立場が貫かれているのです。

たぶんこれが一番の未知のパートで、今回の自分の学ぶべきポイントなのだと感じました。

そこで、上部を3つに区分して、統治者層、起業家層、労働者層としました。

 

具体的なメソッド2:本のフレームワークを構造化する

こうして出来上がった大枠の地図に各章の未知パートのキーワードを主体に記入していきます。

引用的に各章に構造図があると、この1P化にはとても便利です。

詳細図も同様の工程を経ていますが、大枠図でガイドラインが見えるので、こちらは未知パートのメモ的に活用する感じです。

それでも、それぞれの関係性をしっかりレイアウトしていくことで、逐次読みとは別に、課題の構造化が脳内に根付きます。

目的である「経済学的な意思決定のフレームワークの概念を知り、それを日常生活に適用する」の為に、利用すべき経済学的ツールは5個とされています。

1.限界分析 :企業で損益分岐点を出すときに使いますね

2.生産可能性フロンティア:トレードオフ概念の基本

3.需要供給曲線 :アダムスミス大先生の見えざる手ですね

4.生産関数 :収穫逓増→収穫逓減→損失の発生を3つのステージで理解

5.国民所得・生産勘定(生産ー支出モデル):ミクロとマクロの経済のリンク図

この5つがわかっていれば、経済学の生活への活用は可能という理屈になります。

ただし、その前提があります。

前提とは、経済学は、「希少性の学問」であるということを理解することです。

それは「人間の無限欲求と地球の有限資源のトレードオフについての学問」であるということです。

このトレードオフの局面を乗り切る方法が「経済的意思決定フレームワーク」なのです。

 

経済的意思決定フレームワーク

①解決すべき問題の特定

②達成されるべき目標の決定

③目標を達成するための主要な選択肢の決定

④問題の理解に必要な経済的概念を選択し、それぞれの選択肢の長所・短所を評価する

⑤どの選択肢を使って、最も多くの目標を達成するかを決定する

これが、白眉なのでしょう。西洋的な科学アプローチの基本です。そして、起業だけでなく、政府でも軍部でも、この経済的意思決定フレームワークがいたるところで活用されているので、西洋社会は構造化理解がしやすいのです。

たぶん、この経済的意思決定フレームワークは、意思決定P → 実行D → 評価・分析C → 修正実行Aと流れていくのも、アメリカ人にとっては自然な教えなのです。

日本の高校生がこの基本のフレームワークを知って、悩まないで行動にできるかと考えると、その差は大きいのではないでしょうか。この部分は、経済学ではなく、国語や数学のベースとして教えてあげたいと思うのです。

 

世界の見本になるべきアメリカ経済圏を守るため

 

こうした基本の上に、経済学概念の生活への応用があり、行動の輪と関心の輪で横位置に区分すると、

ミクロ経済学が最も行動の輪に近く、ほとんど自分の力の及ばない範囲でマクロ経済学→国際経済学と位置付けられます。

その横の展開も、同じく行動ー関心の分析に当てはめると、3つのレイヤーに区分できました。

A.労働者・非雇用者(消費者)の活動

B.起業家の活動

C.経済統治者の活動

自由資本主義の基本方針が市場に「自由にさせる(レッセフォール)なので、企業競争と消費者の無限欲望のコントロールをいかにフリーハンドで行うかの「場の設計」が最重要というのが、競争的自由市場経済の立場です。しかし、過去のいろいろな失敗から資本主義は進化していて、経済統治者からの介入を行いながら、市場の健全さを保つ「修正自由主義経済」に移行して、経済的な安定をコントロールしている状態と教えています。

その上では、関税や、貿易同盟や経済ブロックなどもこの政府介入の範疇で説明されます。

これらは、共産主義圏に対する「世界の見本になるべきアメリカ経済圏を守る」ための国民教育として位置づけられた教科書なのです。

 

具体的なメソッド3:逐次読みしながらキーワードを書き込む

 

第1部基本概念・2章

第2部ミクロ経済学・4章

第3部マクロ経済学「制度」・5章

第4部マクロ経済学「政策」・4章

第5部 国際経済学・3章

 

目次の項目を詳細図にした1ページに大きく配置します。その後、そこに、本を読みながら、キーワードを記入していきます。時間がないときは、各章のまとめページを先に読み、未知のパートだけさかのぼって熟読します。

 

読み終わると、全容はこんな形になりました。

全部説明してると、90分授業じゃぁ足りないボリュームなので、興味が有れば読んでみてください。

 

この本は「経済学を日常生活に適用する」を特徴としているので、全章にかならず高校生自身が我が事として、そのトピックスが考えられるように、工夫されています。

章ごとに、日常レイヤーと経済学をリンクさせて考えるべき宿題が出されているのがとてもいいです。(黒字部分) これを子供たちとの会話の参考にするといいなぁと考えました。

 

結局、消費者主権の修正自由起業経済を指導するアメリカ資本主義の勝利を国民に理解させる内容なのですが、日本の教科書のレベルに比べるとはるかに実利的だと感じました。


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