THE BEATLES GET BACK ルーフトップコンサート
IMAXで開催された「THE BEATLES GET BACK ルーフトップコンサート」を観に行き、興奮して、流れで「ザ・ビートルズ全アルバム視聴に挑戦!」を始めました。これもアーリーリタイアして、可処分時間がある副作用です。
映画は、彼らの最期のライブアクトになったサビルローにあったアップルレコードの本社で行われたゲリラライブのドキュメンタリーで、「LLL」のピータージャクソンが当時のフィルムを再編集してまとめています。
『ザ・ビートルズ Get Back: ルーフトップ・コンサート』|予告編|Disney (ディズニープラス) – Bing video
全体は、音楽主体というより、ドキュメンタリー要素が強いです。
4人の前代未聞の行いをなんとか実現しようとするスタッフのてんてこ舞い状況や、つまんなさそうに聴いてるオノ・ヨーコとか、騒音の苦情のために駆け付けた警察とのいざこざの顛末とか、突然始まったパフォーマンスに対する路上の人々へのインタビューなどで構成されています。
でも音も映像も最新加工されていて迫力満点で、IMAXで観ると、当時、ほぼ誰も一緒に鑑賞できなかった本社ビルの最上席で観ている気分になります。Disny plusでは観るつもりないです!
鑑賞後の感想は「ビートルズって、ライブバンドだったんだな」でした。
マルチトラックで凝りに凝ったアルバムを作り出した印象が強いので、こういうシンプルな演奏を一発で決めているライブバンドの姿は新鮮でした。
あの有名な曲の演奏後のあのおしゃべりって、こういう流れで発言されたのが、そのまま入ってるんだ!?とか、新鮮な驚きが多かったです。
その意味で、彼らの全曲を時間軸に伴って、ちゃんと通しで聞いてみたいと思いました。
これ、暇とお金がないと、できないので、一度も人生で実現していませんでしたが、アーリーリタイアで、いまは時間に余裕があるので、さっそく開始です。
そして、こういう企画をするのに、音楽聞き放題のApple musicの経済性が効いてきます。
ビートルズの全アルバム視聴に挑戦
さて、ビートルズの全アルバムですが、12枚に及びますので、1枚づつ聞き終わったときの感想を書いていきます。
以下、時系列視聴をほぼ1日1枚で聞いた感想です。
*この記事、熱狂的なビートルズマニアの方に怒られそうな気がするので、先にお断りしておきます。とても個人的に感想になるので、ビートルズ初心者の気の迷いだと思って優しい気持ちで大目に見てください。
一応、Wikiのリンクもつけておきます。正しい知識が欲しい方はそれを参照ください。
1.プリーズ・プリーズ・ミー – Please Please Me 1963
デビューアルバム!実際はわずか25時間(ほぼ1日)で制作されたとのことで、一発撮りに近いライブ感覚がある。
やはり彼らは正真正銘のライブバンドなんだなぁって実感します。
最初の「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」(I Saw Her Standing There)のポールの掛け声の「One,Two・・・」っていう楽し気な調子が、これから始まる「ビートルズ革命」の宣言のよう。
ジョンの「プリーズ・プリーズ・ミー」(Please Please Me)がシンプルで心を揺さぶる。
すべての楽曲は、当時の流行で、全曲が圧倒的に短いのが特徴。全体にはシンプルな印象だが、ロックというよりは、アメリカンポップスなテイストや、ところどころにハーモニカなどでカントリー風なアレンジを感じる。
シングルカット
- A面「ラヴ・ミー・ドゥ」 B面「P.S.アイ・ラヴ・ユー」
リリース: 1962年10月5日 全英17位 全米1位 - A面「プリーズ・プリーズ・ミー」B面「アスク・ミー・ホワイ」
リリース: 1963年1月11日 全英2位 全米3位
2. ウィズ・ザ・ビートルズ – With The Beatles 1963
楽曲として「オール・マイ・ラヴィング」(All My Loving)が突出しているが、アルバムの印象は希薄だと思う。自分的には凡庸(ごめんなさい、でも正直な感想)
「プリーズ・ミスター・ポストマン」(Please Mister Postman)が収録されていることもあり、アメリカン・ポップスやロックンロールの影響を強く感じる。自分が生まれた年代の音楽が詰まっている気分だ。
「ドント・バザー・ミー」(Don’t Bother Me)でジョージ・ハリソンが初めて曲を提供している。
モノラル盤とステレオ盤が同時発売された話やボーカルにダブルトラックが使用された話は時代を象徴している。
シングルカットなし
*同時期シングル
- フロム・ミー・トゥ・ユー(From Me to You) / サンキュー・ガール(Thank You Girl)(1963年)【英;6週1位】
- シー・ラヴズ・ユー(She Loves You) / アイル・ゲット・ユー(I’ll Get You)(1963年)【英;通算7週1位】
3. ハード・デイズ・ナイト – A Hard Day’s Night 1964
Fadd9のジャーン!の1音だけ、世界一短いイントロで始まる最高のアルバム。
初主演作となる映画『ハード・デイズ・ナイト』のサウンドトラック、自分としては旧邦題の「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」のほうが、なじみ深い。命名は水野春朗氏なのが笑える。
これこそ名盤。私の生まれ年に、こんなアルバムができていたなんて、素晴らしい。
シングルカットの曲はもちろんだが、「エニイ・タイム・アット・オール」(Any Time At All)や、「今日の誓い」(Things We Said Today)とか、ゴキゲンなナンバーが並ぶ。
このアルバムで全曲オリジナルになるためクレジットは「WORDS AND MUSIC BY JOHN LENNON AND PAUL McCARTNEY」とされているそうです。この1964年2月にグループとして初めて渡米し、9日にCBSの『エド・サリヴァン・ショー』に出演したそうです。イギリスのヒーローから全世界のヒーローになった年ですね。
ちなみに、雇用されている人生でずっと気分は「A Hard Days and Nights」で、ある意味でテーマソングが「A Hard Day’s Night」でした。いま、アーリーリタイアして聞くと、他の曲の方が身に沁みる。
シングルカット
- 「キャント・バイ・ミー・ラヴ」
リリース: 1964年3月20日 全英1位 全米1位 - 「ア・ハード・デイズ・ナイト」
リリース: 1964年7月10日 全英1位 全米1位
同時期シングル
- アイ・フィール・ファイン(I Feel Fine) / シーズ・ア・ウーマン(She’s a Woman)(1964年)【英;5週1位】
4. ビートルズ・フォー・セール – Beatles For Sale 1964
1960年代はなんて幸福なんだろう、こんなアルバムが毎年1枚リリースされてたんですよ。
最も多忙な時期の全米ツアーの合間につくられたらしく、オリジナル以外の収録が目立ちます。有名な「ミスター・ムーンライト」(Mr. Moonlight)もその中の一曲。
このアルバムでは、ビートルズの2面性が明確に表れていると言われます。
オールディーズ・ロックンロールの継承の側面とフォークロック的な側面です。特にこのアルバムでは、ジョージのリリカルな特徴が色濃く出始めるのですが、たぶん作詞家としての作家性が確立したために、どんどんオールディーズ・ロックンロールの色彩が退色し、その分、ビートルズ・ワールドとしか言えない楽曲が増えて行ったのでしょう。
故にこのアルバムのオールディーズの色合いはメンバーが大好きだったバディ・ホリーやチャック・ベリーのカバーをしながら、そこからの「卒業」の意味合いの方が強い気がしました。
ちなみに、「エイト・デイズ・ア・ウィーク」(Eight Days a Week)も、就業人生でずっとテーマソングにしてました。
シングル
* 同時期の「アイ・フィール・ファイン」はシングルのみでアルバム収録されていないです。
5.ヘルプ! – Help! 1965
イントロなしで「HELP!」の叫び声から始まる。この印象的な「助けて!」の叫びは、当時まさに多忙を極めたであろうスターの心の叫びなんだろうなぁ。
同名の映画「HELP!」のサウンドトラックなのですが、B面に収録された7曲は映画では未使用とのこと。
その中に、名曲「イエスタデイ」(Yesterday)が入っているのですが、この曲がイギリスでシングルカットされていないのは、今回初めて知りました。
メンバーがバンドのイメージとは違うと拒否したらしいのです。つまり、ロックバンド的なビートルズのあるべき論がメンバーのなかにもあったということですね。
この時代、ビートルズのイメージの対極にボブ・ディランに代表される反骨的なフォークロックの動きがあって、時代は能天気な楽曲と政治メッセージ的な楽曲に分かれていくのです。
能天気な映画音楽であるこのアルバムは、どうもその分岐点にあるようですね。
そのなかで「悲しみはぶっとばせ」(You’ve Got To Hide Your Love Away)が象徴的な楽曲で、これ、とことんボブ・ディランです。
この影響は、ジョン自身が「これはぼくの-ディラン時代-の曲。ぼくはカメレオンだから、その時に流行っているものにならなんでも染まってしまう」と認めています。
でも、僕は大好きです。
シングル
- 涙の乗車券(Ticket to Ride) / イエス・イット・イズ(Yes It Is)(1965年)【英;3週1位】
- ヘルプ!(Help!) / アイム・ダウン(I’m Down)(1965年)【英;3週1位】
- デイ・トリッパー(Day Tripper) / 恋を抱きしめよう(We Can Work It Out)(両A面 1965年)【英;5週1位】
6. ラバー・ソウル – Rubber Soul 1965
さすが歴史に残る名盤! これだけを丸3日間、聞いて過ごしました。
前5作のライブバンドの印象とはまるで違う、スタジオ・プレイヤーの側面が押し出された感覚。
レコーディング期間は約1か月とのことだが、集中してクリエイティブに取り組めたのだと思います。
マルチトラックの使い方にものすごい進化を感じます。
なんど聞いても聞き飽きない工夫が随所にあるし、詩作もメッセージ性が深まり、多様な理解を許容します。
「ノルウェーの森(ノーウェジアン・ウッド)」(Norwegian Wood (This Bird Has Flown))が象徴的ですが、当時のドラッグ文化の影響やインドの瞑想などからのインスパイアがほとばしります。
自分は、「イン・マイ・ライフ」(In My Life)から「ウェイト」(Wait)の流れが好きです。
おっ、これシングルカットないんですかね??
同時期シングル
- ペイパーバック・ライター(Paperback Writer) / レイン(Rain)(1966年)【英;2週1位】
同時代を体験した村上春樹さんも、このアルバムに特別な思い入れがあるようで、2022年5月の村上ラジオで「ラバーソウル」の特集が放送されました。全てカバー楽曲という素敵な選曲でした。
https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/index.html
7. リボルバー – Revolver 1966
前作でスタジオ録音の楽しさに目覚めたビートルズが、実験的にやりたいことをやってる感じのアルバムです。
高校の時、放送委員会に所属してテープレコーダーをいじりまくっていたので、この気持ちよくわかります。
逆回転とか、オーバーダビングとか、楽しいですよね。
でも、アルバムとしては、この取り留めなさは、ちょっと退屈でした。たぶん、コンセプトアルバムを作る脱皮期に当たるのが、「リボルバー」なんだと思います。試行錯誤の段階で、ゆえに実験的と評価されたのでしょう。
でも、1曲ずつは好きな曲が多いのです。
「エリナー・リグビー」(Eleanor Rigby)、「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」(Here, There And Everywhere)、
「グッド・デイ・サンシャイン」(Good Day Sunshine)
とか、隠れた名曲が多いですね。
シングル
- イエロー・サブマリン(Yellow Submarine) / エリナー・リグビー(Eleanor Rigby)(両A面 1966年)【英;4週1位】
全英1位 全米1位
・マジカルミステリーツアー(Magical Mystery Tour)1967
マジカルミステリーツアーは、ビートルズ製作・主演のテレビ映画。現在のAppleMusicでは、このサントラがエントリーされている。メンバー自らがプロデュースした映画自体は散々な出来だったようで、当時は酷評されたらしい。
ところが、自分としては、これがベスト・アルバムです!!
たぶん、ビートルズの2つの方向性のうち、スタジオワークの側面が完全開花したのが、この時期なのでしょう。
前年の1966年の「リボルバー」で、実験的なことをやり尽くして、咀嚼された状態なんでしょう。
ダビングという新技術が、彼らの持つ創造性と融合した作品だと思います。
「芸術=技術×創造性」という公式がビートルズにおいても当てはまります。
テクニックやスキルで実験している段階では、まだそれは彼らの創造性とはなじんでいなくて、このアルバムの段階で、高次の融合を果たして、その後の時代に「コンセプチュアルアルバム」と言われる、AB面の2時間で完結するドラマを作ったのだと思います。その想いが、彼らに映画というドラマまで挑戦させることになったのだと推察しました。芸術家ビートルズの側面が開花したのです。
曲目
- マジカル・ミステリー・ツアー
- フール・オン・ザ・ヒル
- フライング(ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リチャード・スターキー)
- ブルー・ジェイ・ウェイ(ジョージ・ハリスン)
- ユア・マザー・シュッド・ノウ
- アイ・アム・ザ・ウォルラス
- ハロー・グッドバイ
- ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー(Strawberry Fields Forever) /
- ペニー・レイン(Penny Lane)
- ベイビー・ユーアー・ア・リッチ・マン
- 「愛こそはすべて」
8.サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド – Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band 1967
「1966年に発売されたオリジナル・アルバム『リボルバー』におけるテープ・エフェクトやスタジオワークの技術の多用により、当時のコンサートでは再現が困難な作品が作られるようになっていた」ウィキペディアより
- ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー(Strawberry Fields Forever) / ペニー・レイン(Penny Lane)(両A面 1967年)【英;3週2位】
- 愛こそはすべて(All You Need Is Love) / ベイビー・ユーアー・ア・リッチ・マン(Baby, You’re a Rich Man)(1967年)【英;3週1位】
- ハロー・グッドバイ(Hello, Goodbye) / アイ・アム・ザ・ウォルラス(I Am the Walrus)(1967年)【英;7週1位】
************いったんここで 公開します。でも引き続き聞き続けます!*********
9.ザ・ビートルズ – The Beatles 1968
いわゆるグループ名だけがクレジットされているセルフアルバムなので、いわゆる「ホワイトアルバム」と呼ばれています。2枚組全30曲収録と最大ボリュームを誇ります。
ジョージ・ハリソンの発案でインドへの瞑想旅行に行く最中に構想されたと言いますが、まさに「迷走」しています。
初めて8トラック録音をしたために、全員での同時演奏がなくなったという話ですが、それより、ごった煮の制作状態を整理するために、メンバー間で協議ができなくなったことが問題だと思います。
逆にいえば、クリエイターとしてのそれぞれのやりたいことが、このごった煮の状況から見えてきます。
- レディ・マドンナ(Lady Madonna) / ジ・インナー・ライト(The Inner Light)(1968年)【英;2週1位】
- ヘイ・ジュード(Hey Jude) / レボリューション(Revolution)(1968年)【英;2週1位】
10. イエロー・サブマリン – Yellow Submarine 1969
アニメ映画『イエロー・サブマリン』のサントラ。寄せ集め感満載です。パイオニアLDC時代に音楽チームがLD化していたと思います。映画は嫌いじゃなった記憶があるのですが、LSD感覚の酩酊感覚だけで、正確に思い出せない。
「本作はビートルズの活動中のスタジオ・アルバムでは唯一全英・全米ともに1位にならなかった作品である」という不名誉な記録を保持しています
*正しくはこちらを聞いた方がいいのかもしれません。
1999年に映画で使用されたビートルズの楽曲のみを集めリミックスを施したアルバム
- ゲット・バック(Get Back) / ドント・レット・ミー・ダウン(Don’t Let Me Down)(1969年)【英;6週1位】
- ジョンとヨーコのバラード(The Ballad of John and Yoko) / オールド・ブラウン・シュー(Old Brown Shoe)(1969年)【英;3週1位】
- サムシング(Something) / カム・トゥゲザー(Come Together)(両A面 1969年)【英;4位】
11. アビイ・ロード – Abbey Road 1969
12. レット・イット・ビー – Let It Be 1970
- レット・イット・ビー(Let It Be) / ユー・ノウ・マイ・ネーム(You Know My Name(Look Up the Number))(1970年)【英;2位】
ここまで来ると、次は全ビートルズ映画の鑑賞マラソンやりたいです。
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