外資系IT企業に転職した時、一番不安だったのが「英語」だった。
Microsoftでは、実際は、英語スキルが常時求められる職種と、海外とあまり接触がない職種は区分けされているのだが、英文メールは当たり前だし、英語スキルはある程度必要だった。
最初の上司に相談したら、驚くべき提案が行われた。
「それでは、私と一緒に、毎日、NHKの英語番組を聴きましょう。時間を取ります」
えっ!えっ!「英語のラジオ番組を聴きなさい」じゃなくて、「一緒にやりましょう」??
これは人生の中でも衝撃的な提案のひとつだ。
この上司は英語を常時求められる上級職で、もちろん英語スキルは抜群で留学経験もある。そしてランチも食べないくらいに多忙な人でした。
「その超多忙な人の時間を毎日15分を奪って、自分の不足したスキルを埋める時間に使う」!?
これは途方もない提案だった。でも、そういう部下の成長を最優先に考える人なのだ。新人トレーニングの為にビジネス書の読書会も開催していた。
世の中にはそういう奇特な人が本当にいるのを知った。自分の過去の上司部下関係を根底から反省した。
結局、1週間、一緒にNHKゴガクの英語講座を毎朝聞き、感覚を掴んだ頃に腹割ってお話した。
「流石に申し訳ないので、二人で勉強するのはここまでで大丈夫です。でも自分は英語の勉強を続けます。本当にありがとうございました」と、深く深く感謝した。
それ以降、6年間、私はNHKゴガクの英語ラジオ講座を続けている。英語が苦手なのは今でも同じ。でも、異言語のメンバーへのコミュニケーションは嫌いではない。ネイティブな英語話者もいるが、グローバル企業では、母国語が英語ではない人たちがたくさんいる。多様な英語が使われており、分かり易い英語が求められることを痛感した。
「イズミの英語はよくわからないけど、言いたいことはよくわかる」っていうのが、とりあえず褒め言葉だと思っています。今のところは、だってまだ勉強中だし、進化中だから。
そして素晴らしいのは、こういう人間には、自分の劣った能力を埋めて、翻訳を買って出てくれる人がたくさんいるということ。これも外資系企業に入って感動したことの一つ。
ということで、今日もNHKゴガクのラジオビジネス英語を聞いています。
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