【体験談】シニアにとってNPOってどうなの? 東京しごとセンターに行ってみる

シニアの可能性としての「NPO」

シニアがNPO活動に参加するメリットとは?東京しごとセンターでの実際の体験を通じて、その魅力と課題を詳しく解説します。

シニアにとってのNPO

過去いろいろシニア世代の起業の可能性や、持続可能なヤリガイ人生についての記事をアップしてきました。

今回は別角度からのアプローチで、NPOやボランティアという可能性を考えてみたいと思います。

参考記事

シニア起業 – ゴキゲンLifeShift (gokigenlifeshift.com)

 

ゴキゲンでヤリガイのある「社会貢献」の形を探して

 

私の検討する起業の目的が「社会貢献」であるため、会社形態が株式会社でも、NPOでも、合同会社でも、あまり差がないと思っていました。それは私にとっては同じ「社会起業」なのです。

ただそれでも、「ボランティア」って言葉になると違う印象があります。この差がどこから来るのかをよく考えましたが、知識が不足していてよくわかりませんでした。

自分で起業するのか、すでに存在する組織に後からジョインする、と言う差があるのかもしれませんし、加えて、まったくお金が入ってこない活動でいいのか、ある程度の収入を得るつもりなのか、と言う差なのかもしれません。

正直、これだけを考えてみても、社会貢献のスタイルには、多様な形態があることがわかります。

そこで、今回は徹底的にNPOやボランティアなどを取材してみました。

シニア、飯田橋・東京しごとセンターに行く

東京都には、いろいろな就業支援機関がありますが、飯田橋にある東京しごとセンターには、ハローワーク飯田橋、東京しごと財団、東京しごとセンターなどが併設されているため、各機関が横連携してサービスしています。

例えば東京仕事センターのシニア登録をすると、ハローワークの高年齢層の求人が同時に閲覧可能になるなどの特典があります。今登録している府中などのハローワークなどにはないサービスです。

現在、飯田橋の建物自体がリニューアル工事中なので、エレベーターなどのアクセスがかなり悪いですが、それでも一度は覗いてみるべき価値があると思います。

シニアコーナーオンライン就職支援サービス | 東京しごとセンター (tokyoshigoto.jp)

今回はNPOの取材だったので、東京しごとセンターに伺いました。

ハローワークとは別にここを利用するためには、しごとセンターへの登録が必要になります。

東京しごとセンターは、特に年代別の就業支援が充実していて、我々向けには「55歳以上のシニアのための就業支援」を謳う、シニアコーナーがあります。

ハローワークではなかなか希望職が見つからないシニアにとっては心強い味方です。

また「多様な働き方専門相談」という形で、企業以外の働き方の相談を個別にしてもらえます。

・NPOやNGOで働きたい

・自営型テレワークをしたい

・NPO法人を設立したい

・就農したい

・ボランティアに参加したい

などの、選択肢を具体的に相談できます。

 

 

 

NPOスタッフ体験を申し込む

「多様な働き方専門相談」の目玉が、「NPOスタッフ体験」です。

NPO活動に興味はあるものの、実際にどんな活動になるのかわからないという方にむけて、実際のNPO法人への3日間の体験活動を斡旋してくれます。

体験先は東京に事務所のあるNPO法人で、希望登録、先方での面接を経て、体験実習と言う流れで、マッチングをしてくれます。まぁ、シニアのインターン制度とでも言うべきでしょうか。

コロナなので、受け入れ先が現在は限られますが、「まずは行動」と思って、登録をし、希望の受け入れ先を選択してきました。

 

イベント「はじめてのNPO・コミュニティビジネス」

 

後日、この多様な働き方専門相談室が主催する「はじめてのNPO・コミュニティビジネス」というイベントに参加しました。

55歳以上のNPO初心者が対象なので、詳細にNPO組織の種類や事業の手続きなどを説明するイベントで、同年代の様々な経歴を持つ人と直接出会う貴重な機会でした。

以下イベント当日のメモです。

・NPO ノン・プロフィット・オーガニゼーション : 民間非営利組織

ドラッガーによると日本のお寺が最古のNPO。

(財)、(社)、宗教法人、学校法人、医療法人、労働団体、協同組合なども入る広い概念

・NGO ノン・ガバメンタル・オーガニゼーション :非政府(民間)組織

・ボランティア :原義は志願兵であり、自らの意思で活動する人

 

つまり今日のイベントの対象は「非営利+非政府の活動」で、個人だとボランティアと呼ばれ、組織になるとNPOと規定される組織ということです。

NPOとNPO法人は違う

これは知らなかったのですが、広義であるNPOと法的な存在のNPO法人は意味が違うそうです。

NPO法人とは、NPO法(特定非営利活動促進法)による要件を満たし、所轄庁(東京都NPO受付)から認証を受け、登記した団体ということです。

現在、国内5万社で微増(東京都だけで1万社・微減)です。

認定NPO法人になると税制優遇を受けられるメリットがあります。認定NPO法人には、大別すると2つのタイプがあります。

・事業型NPOは、事業収益が主

・寄付金型NPOは、寄付金が主

税制優遇が認められるNPO法人の活動には、20分野あり、そこから2-3分野を組み合わせた活動領域としているNPO法人が多いとのことです。その分野別登録のランキングです。

1位 保健・医療または福祉の増進

2位 学術、文化、芸術またはスポーツ

3位 子供の健全な育成を図る

 

NPO法人の設立手順

・メンバー(役員、社員)を集める

・資金の準備

・総会準備

・設立総会

・所轄庁である東京都NPO受付に申請書類を提出

・審査

・認証決定

・法務局で設立登記 これで法人成立!

結構、設立登記を忘れる人が多く、認証取り消しになることが多いと忠告されました。

結局、やりたかったのはSB(ソーシャルビジネス)

今回のセミナーでの収穫は、コミュニティビジネス(CB)とソーシャルビジネス(SB)の存在を知ったことでした。

CB コミュニティビジネス :地域課題を地域住民が、ビジネスの手法を用いて解決する取り組み

SB ソーシャルビジネス :地域を限定しないCB

 

CBの成功事例として有名なのは徳島県上勝町にある「葉っぱビジネス」の株式会社いろどりです。

こちらが株式会社であることに注目いただきたいのですが、地域課題、社会課題をビジネス手法で解決するためには、利益を主体にする会社組織で問題はないわけです。

CBの立ち上げ・継続のためには、以下の4つのバランスが重要と教わりました。

・課題解決度:地域における創業機会・就業機会の創出

・地域連携度:地域コミュニティの再生

・自己実現度:担い手のワクワク感・楽しさの持続

・経済自立度:活動継続のための財源確保

 

特に、年収平均250万円、平均5名というNPO法人の常勤有給職員の実態を知ると、経済的な安定性を求めるのはかなり難しいのが現実です。

NPO法人にこだわって、一般的な収入をあきらめるよりも、株式会社で実利も、社会貢献も両立させる方が、現実的なことが見えてきました。

株式会社いろどりのおばあちゃんたちも、土地の葉っぱを集めれば、自分の収入に直接つながるというモチベーションがあってこそ、持続可能になったのだと思います。

55歳以上のセカンドライフなら、理想を追うキレイごとだけではない、大人の選択をしたいものです。

現在では、社会貢献の担い手の多様化が進み、NPO法人、株式会社、任意団体、企業組合など組織形態のすそ野はとても広がっているということで、社会貢献を実現するために、法人格の有無、種類を問わないということでした。

 

ゴキゲンとヤリガイの両立を目指す「ゴキゲンLIFESHIFT」であるなら、一番自分の心に馴染む形態は、このSB(ソーシャルビジネス)という営利団体だと、その姿が見えてきました。

 

55歳以上を対象にしたこのイベントでは、定年前、早期退職、雇用延長、再延長、完全引退後などライフステージが様々な人々が集まっていました。

いくつになっても、社会貢献を続けたいというシニアの仲間がたくさんいると、直接お話しすることで実感できました。


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