異次元の数寄モノたち 実は普通人とプロの境目はない 

毎週日曜日の午後は「山下達郎 サンデーソングブック」というラジオ番組を聴く。ゴキゲンLIFESHIFTにはピッタリのFM放送だと思います。
サンデー・ソングブック|山下達郎 OFFICIAL SITE (tatsuro.co.jp)

山下達郎さんは、一貫して「オールディーズ」からブレない。それ以外の音楽をほぼ番組でかけないで、貫き通して30年という番組の唯一無二のパーソナリティで、尊敬する「異次元の粋人」です。

「最高の選曲と最高の音質で、珠玉の名曲をお届けする」という番組テーマをそのままに、レコード音源をFMで最高の状態でリスナーに届けるために、すべてリミックスしてオンエアしています。
それはもう、そこまでやりますか!!って、こだわりです。

こういう真摯な姿勢が、ご自身の楽曲づくりにも出ていて、いまリバイバルしている全世界注目のシティポップスブームの中心的な人物なのは、誰しも知るところです。

まぁ、プロフェッショナルな方なので、ここまではいわゆる「異次元の粋人」としては、普通の話です。

今日は、この「異次元の粋人」というレベルは、我々一般人とは別世界の話なのか、それとも我々もやり方次第で「異次元の粋人」になれるのかについての話です。

サンデーソングブック、略して「サンソン」では、毎年の恒例企画があり、
ひとつは、例年8月・12月の第3週・4週には、妻である竹内まりやさんを迎えての「夫婦放談」が有名です。

僕が好きだったのは、毎年1月の第1ー2週の企画として放送されていた山下達郎さんと大瀧詠一さんによる正月「新春放談」でした。

これはリスナーを完全無視して、オールディーズ・コレクターのお二人が、保有する希少価値の高いレコードを自慢しあうという、好事家の趣味の世界を大公開するという内容で、正月早々、底の深さに唖然として、数寄者同士の異次元の会話に聞きほれるというオンエアでした。

大滝さんが亡くなられる2011年まで続けられてきたのですが、残念ながらしばらく休止してました。

この名物企画が2020年から復活したのです!
大瀧詠一さんに代わって登場したのが、宮治淳一さんでした。番組では音楽評論家、レコードコレクターとして紹介されます。

この宮治さん、同じくラジオ放送では「桑田佳祐のやさしい夜遊び – TOKYO FM 80.0MHz (tfm.co.jp)」でも有名な方で、たまにゲスト出演されています。はい、実は、サザンオールスターズの名付け親なのです。湘南時代の桑田さんの親友という燦然と輝く過去をお持ちです。

と、ここまで山下達郎、桑田佳祐とプロフェッショナルな方々の輪の話なので、我々一般人と別世界の話なのかと思うじゃないですか、実はこの宮治純一さんは、僕の以前の会社の大先輩なのです。

当時は普通の会社員でした。昨年までたぶんワーナーミュージックジャパンでフツーの会社員で働いていたはずで、先週の放送で無事に定年で「楽隠居」と言われていたので、普通の会社人生を勤め上げられたのだと思います(ご定年おめでとうございます!)。

ちなみにこういう時に有名人の証であるウェキペディアの宮治さんのページをリンクしておきます。
宮治淳一 – Wikipedia

引用「1979年にディスコメイトレコードに入社。パイオニアLDCを経て、1995年からワーナーミュージック・ジャパンで洋楽編成を担当。」

このパイオニアLDC時代の先輩になります。
パイオニアLDCはもう会社がないので、知ってる人は少ないと思いますが、奇特な会社だったので、こちらもリンクしておきます。
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン – Wikipedia
(パイオニアLDCリンク先の現社名)

引用「1981年パイオニアレーザーディスク(LD)の製作を目的として設立されたレーザーディスク株式会社。しかし、パイオニアがワーナー・パイオニア(現:ワーナーミュージック・ジャパン)から資本を引き上げて(同社との販売元としての契約はその後も継続)自前で音楽製作にも乗り出す方針に転換したことから、1989年パイオニア エル・ディー・シー株式会社(パイオニアLDC)に商号変更し、音楽事業や映画配給事業、アニメ作品の製作も手がけるようになる。」

ここに集められた人たちがヘンテコだったんです。
宮治さんだけじゃなくて、ほんとうに変わり者集団で、いわゆる「異次元の粋人」ばかりでした。
みなさん簡単には信じないと思うので以下に一例をあげてみます。

映画業界では有名な評論家でスタンリーキューブリックやフランシス・コッポラの著作なども出版された内山一樹さん
【レポート】『キューブリックに魅せられた男』トークショー付き試写会に矢追純一さん×内山一樹さん(映画研究者)登壇! | anemo

内山一樹の本おすすめランキング一覧|作品別の感想・レビュー – 読書メーター (bookmeter.com)

ビートルズマニアで、数寄が高じてビートルズ映画の監修者にまでなってしまい、なんとポール・マッカートニーとも友人という本間 泰樹 (ピーター)さん
サブパーソナリティーを務めていた音楽番組
THE BEATLES 10 – Wikipedia

市川崑監督を追い続けて、マニアックな追っかけ人生を仕事にした森遊机さん
完本 市川崑の映画たち | 市川 崑, 森遊机 |本 | 通販 | Amazon

僕の師匠で、F-1から新日本プロレス~パンクラス~K-1まで一流ジャンルを映像化していったプロデューサーの葛西英樹さん

アニメ事業を教えてもらった「この世界の片隅で」で有名なプロデューサーの真木太郎さん
真木太郎 – Wikipedia

工業デザインからLDパッケージのジャケットデザインを極め、50歳から鎌倉彫をはじめ、いまや鎌倉彫の師匠になられた橘久雄さん

などなど、錚々たる「異次元の粋人」を輩出している会社です。
彼らが、普通の会社員かというと、実にちゃんとしたサラリーマンだったのです。たまには奇行もありますが(笑)。
なので、僕の中では、山下達郎さんも、大瀧詠一さんも、桑田佳祐さんも、宮治淳一さんも、区分はなく、みなさん「異次元の粋人」なんです。

なにか好きって思いこんだ道があって、それに向かって全力投球して活動していく。数寄を追い続けて、長い間、活動を継続していくと、いつの間にかその道の達人になっている。そんな人生ですね。

 

『子曰く、これを知る者は、これを好む者に如かず。
これを好む者は、これを楽しむ者に如かず』 論語・知好楽

好む、楽しむという道を、うらやましいという他人事ではなく、自分として同じく、こうした「道」を求めていきたいと思うのです。これだけ身近に「異次元の数寄者」の好事例があるんですから。

たとえば陶芸もまだ初めて3年ですけど、これから83歳まで続ければ、30年のベテランになります。

なにしろ「陶芸家」って、名乗ればその日からなれるという奇特な呼称なんです。だから僕は3年前から「陶芸家」なんです。

そして、売れるかどうかは別として、あと30年も継続すれば、ある程度の陶芸の数寄者になってると確信してます。

 

でも本当にその道を追い続けるかどうかで、大きな差が出てくるんですよ。だから、長い期間を継続できるだけ、好きなものをみつけることが大事なんです。

勝手な仮説ですが24年以上継続して、その道を追求すれば、いわゆる達人になれます。僕はひとつづつそうして目標を達成してきました。

好きを追い続けるって、そういう長いスパンで取り組みすることなんじゃないかって、そう考えています。

 

 

なんて「異次元の数寄者」のことを、村上春樹の「村上RADIO 成人の日 スタン・ゲッツ特集」を聴きながら、考えていました。

村上春樹さんも、同じくクラシックとジャズのコレクターであり、いまではRADIOでも数寄者ですよね。

憧れます。


村上RADIO – TOKYO FM 80.0MHz – 村上春樹 (tfm.co.jp)


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