このブログではフランクリン・R・コヴィー博士の名著「7つの習慣」を、自分なりに読み解く企画を進めています。
7つの習慣 前回までのまとめ
第1回
「7つの習慣」で「ゴキゲン×ヤリガイ」のある人生を手に入れる 1 – ゴキゲンLifeShift (gokigenlifeshift.com)
第2回
第1の習慣「主体的である」 名著「7つの習慣」で「ゴキゲン×ヤリガイ」のある人生を手に入れる 2 – ゴキゲンLifeShift (gokigenlifeshift.com)
第3回
第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」 名著「7つの習慣」で「ゴキゲン×ヤリガイ」のある人生を手に入れる 3 – ゴキゲンLifeShift (gokigenlifeshift.com)
今回の第3の習慣「最優先事項を優先する」は、時間やタスクの管理の話です。
ここでは第1と第2の習慣を「結果にする」ためのパーソナル・マネジメントについて具体的な手法が開示されます。
「7つの習慣」を読んだという人のなかでも、この章の「時間管理のマトリックス」だけは覚えている、という方が多いです。
人生の大事を、小事の犠牲にしてはならない
この章の「最優先事項を優先する」は、文字通りの意味で、コビィー博士においては、「最優先以外は切る捨てる覚悟」を厳しく求めています。
人生において、「大事を小事の犠牲にしてはならない」のです。
そのためには、自分の人生に対する「真摯な自己管理」が必要になります。
真摯に自分の人生に対して、リーダーシップを発揮して「優先すべきこと」を決め、日々の活動の中でそれを実行するマネジメントするのです。
そのためには、強い意志の力で「自分を律する」必要があります。
第3の習慣は、「自分を律して、優先順位をつけ、それを実行する」ための技能として、「タスク管理術」を重視しています。
時間管理術の進化が、効率を究めすぎて、人間性を脅かす
コヴィー博士によれば、時間管理術は3つの段階で進化してきました。
1.メモやチェックリスト : タスクを忘れないようにする工夫
2.予定表やカレンダー : 未来の出来事や活動の予定を見える化する工夫
3.目標設定や(ガントチャート): チームにおけるタスクの価値観に基づいた効率を追求する工夫
人間は、効率を求めて、これらの進化を続けてきました。
しかし残念ながら、これらの「効率的」な管理術が行き過ぎてしまったのです。いまや「効率」だけが病魔のように世界を席巻するようになってしまい、ひとびとの豊かな生活や長閑な人生を奪っています。
我々は、秒刻みのギリギリのスケジュールに追いまくられて、余裕も休息もなく、ストレス満載で、人間関係はぎくしゃくしています。
スケジュールやタスク中心の効率化の果てが、むしろ人間性を破壊し、社会性を奪い、遂には「非効率」を生み出しているのです。
時間は管理すべき対象ではない。自分を管理すれば時間は味方になる。
「7つの習慣」で、紹介されるタスク管理術は、「効率的」な時間管理術の反省のもとに、次のステージに進めようというものです。
それは「時間管理」という概念すら否定します。
時間を管理するのではなく、成果をあげるための相棒なのです。
だからこそ、強い意志の力で自分を律して、「優先すべきこと」を決め、日々の活動をマネジメントするのです。
それによって、時間は自分を制限するものではなくなり、自分にエネルギーを与えてくれる味方になるのです。
人間性を取り戻すタスク管理 マトリックスでタスクを仕分ける
ぜひ、お手元の紙に2本の線を引いてもらいたいです。
そして、縦軸に「緊急」とその逆の「緊急ではない」と書き入れ、
横軸に同様に「重要」と「重要ではない」と書き入れてみてください。
我々を取り巻く要件はすべて、この中に納まります。
緊急の軸 + 重要の軸で できるマトリックス
さて、緊急の用事というものは、とてもわかりやすいものです。
周りの人から急き立てられ、それに合わせて自分も奮い立ちます。
緊急の用事の待ったなしの印象は、すべてが「重要」そうに見えるものですが、本当にそうでしょうか?
図をよく見てほしいのですが、緊急の左半分の領域は2つに区分されています。緊急の要件には、「重要なもの」もあれば、「重要でないものも」あるということです。これが事実です。
問題は、誰にとって「重要」なのか、なのです。
ひとは、緊急な要件には、受動的に反応しがちです。
すべての緊急な要件が、自分の人生にとって「重要」なのかどうか、この2本の線はそれを考えるように促しています。
緊急+重要マトリックスにおける4つの象限
2本線は、四角で囲むとマトリックスを出現させます。
各々に順番に領域名をつけてみます。
第1領域から第4領域までのボックスができました。
先ほど指摘したように我々を取り巻く要件はすべて、このマトリックスの4つの象限に収まるはずなのです。とはいえ、ひとによって、4つの象限のスペースはバラバラで、人それぞに偏りがあることを認識してください。順にその特徴を考えていきましょう。
第1領域 「緊急でかつ、重要な」タスク
この「緊急+重要」領域には、本当に大事なことがあることは誰の目にも明らかです。
この領域に貼られているレッテルは「危機!」なのですから。放置すれば大変なことになる。
なぜならこの領域には、危機への対応、差し迫った事態、期限のある仕事が満載されているからです。
でも、よく考えてみましょう。
この領域が広い人の特徴は、仕事マニアであり、火消し専門家です。
そして残念ながら、その末路は「燃え尽き症候群」です。
ここに生活を占有されている限り、横にある「緊急ではない」けれど、「重要」なタスクには、永遠に手を付けられないのです。
第4領域 「緊急でない、重要でない」タスク
第1領域に汚染されている人が逃げ込むのが、「緊急ではないし、重要ではない」という第4領域です。
第1領域とは逆に、この領域にはまったく生産性がありません。
暇つぶし、遊び、快楽・・・が並びます。
忙しい、忙しいという人ほど、息抜きをすると言っては、ゲームなどで無為に時間を使っているのは、よく目にする光景です。他にも、多くのメールや電話などの雑用もこの領域に属します。忙しがって、電話やメールばかりしてる人も多いですよね。
線をしっかり見ましょう。
この領域は「重要ではない」と区分けされた下半分に属しているのです。
下半分のゾーンに身を置いている人の特徴は、他人任せで、無責任な生き方を選びがち。そのため他者や社会に依存して生きることになります。
その反面、批判ばかりして過ごします。主体性がなく、享楽的な生活になります。
結果として、仕事は解雇され、社会から孤立していきます。
我々の時間の中で、なんと、この下半分の領域の時間が無駄につかわれているのでしょうか。
第3領域 「緊急、重要でない」タスク
自分では気が付いていなくても、この「緊急、重要でない」領域に、依存している人は数多く存在します。
この領域には、飛び込みの電話やメール、チャット、多くの会議や報告書、無意味な接待、非生産的な付き合いなどが並んでいます。
緊急という左半分に属しているので、「重要だと思い込みがち」ですが、騙されてはいけません。
この領域の緊急度は、あなたに指示や命令している人にとっての緊急度であり、単に「早く対応してほしい」と期待されているだけなのです。
この領域に占有されている人たちの特徴は、他人からの頼まれ仕事に埋もれます。
安請け合いしがちで、八方美人に見られています。
結果、周りに振り回され、次第に被害者意識が拡大していきます。
短期的な視野に陥り、目標や計画を無意味に感じるようになり、遂には人間不信で関係が悪化していきます。
ここでも、線をしっかり見ましょう。
この領域も「重要ではない」と区分けされた下半分に属しているのです。
重要度の判定において、自分の判断基準を持つこととても大事なのです。
ここでも強い意志の力で自分を律することが求められているのです。
さて、ここまでマトリックスを見てきて、最後に残されたのが、右上のゾーンです。
この領域が、あなただけでなく、周りの人々にも大きな成果を与えることができるというのが、コヴィー博士の提案です。
第2領域がすべてを握る
「緊急ではないが重要な」タスクのコツは「能動的」になること
まず、もう一度、2つの線をよく見てみましょう。
第2領域を区分けしているのは、「重要」であり、「緊急ではない」という線です。
普段の生活で、「重要」であるにもかかわらず、緊急性が薄いという理由で、この領域に目がいかないのはなぜでしょうか?
コヴィー博士は、その原因を、人々が求められるタスクに「受動的に反応」してしまっているからだと分析しています。
特に周囲からの緊急性の要望が、我々に受動的に反応を強要します。
我々は常に、「この件が緊急だ!それは後回しにしろ!」と、周囲のいろいろ人から大声で叫ばれているのです。
その要望に対して、受動的に承諾してしまえば、どんどん第1領域と第3領域のゾーンにタスクが溜まっていきます。
それが、ひとびとの豊かな生活や長閑な人生を奪っている原因なのです。
周囲の人から「緊急の依頼」と、それに対するあなたの「受動的に反応」が、我々に余裕も休息も与えない、秒刻みのギリギリのスケジュールを強いるモノの正体であり、これがゆえにストレス満載、人間関係はぎくしゃくしていくのです。
第2領域のボックスに入っているキーワードを見てみましょう。
予防的な行動、真の人間関係、準備・計画、新しいチャレンジ
これらは、「受動的に反応」からは生まれません。すべて、「能動的な行動」です。
能動的に、自分を律して、「優先すべきこと」を決め、日々の活動をマネジメントするのです。
ここでこそ、第1の習慣を思い出して「主体性を発揮」するのです。
危機が減る、緊急事態に予測対応できる第2領域活動
第2領域の活動は、先を見渡したうえで、問題の根本に働きかけます。
そのためには、いままで学習してきた第1の習慣「主体的である」や、第2の習慣の「終わりを思い描くことから始める」必要があります。
そのためには、人生の役割とミッションステートメントをちゃんと見える化して、そこで決めた原則とビジョンに忠実に行動しなければいけません。
この基本がしっかりしていることで、物事の優先順位が明確になるのです。
・自分で主体的に行動する
・ミッションステートメント
原則・ビジョンに忠実
・人生の役割のバランス
・時間をコントロール
実際にはじめるとわかるのですが、これらの第2領域の活動は、とても予測的です。
先回りして、危険や危機の芽を摘んでしまいます。
そのため、緊急になる前に終了していることが多くなり、自然に「緊急領域(第1と第3領域)」のタスクが激減します。
「ノー」を言う力を養う
この章が「能動的に、自分を律する」という原則に基づいていると強調するのは、第2領域の行動を実践するためには、「No!」と断るスキルを養う必要があるからです。
我々が常に「この件が緊急だ!それは後回しにしろ!」と、周囲のあらゆる人から言われているだとしたら、そうした緊急の要望に対して、自分の優先順位に基づいて、能動的に判断して、丁重に「いいえ、できません」とお断りするのです。
最初に書いたように「人生において、人生の大事を、小事の犠牲にしてはならない」のです。コビィー博士は、厳しく「最優先以外は切る捨てる覚悟」を求めます。
それは自分の「原則」に基づいた「決断」です。
決断をするために、自分を律するのです。しかし、日々の中で、いかに私たちは「決断」をしないで、先送りをしようとばかり考えてしまします。
私は、この教えを実践するために、10年前に以下の文章を書いています。
今回のまとめは、それを思い出す、良い機会でした。
決断には犠牲が伴う。
犠牲にばかり目を向けると、問題を先送りにすることになる。
問題の先送りで起こることは犠牲の拡大である。
故に人間は決断すべき時に、果敢に決断しなければならない。
犠牲を覚悟して決断しなければならない。
しかし、決断をしないで過ごす人の多さよ。
幼い頃から決断を先送りにしても生きていけた環境の弱さよ。
決断をする者をなじり、先送りする者にへつらう甘さよ。
日本には決断が足りない。
日本の教育には決断力を教えるノウハウがない。
決断した体験の総量が、人の資質を育成する。
今回は、ここまでです。
実は、この第2領域を実践するためには、大きなコツがあるのですが、それはまた次の機会にいたしましょう。
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