インフレの大波を乗り切るために新NISAを FIREライフに生かす

 FIRE生活に想定外の事態が発生!インフレです

FIREした途端に、想定外の厳しい局面になってしました。皆さんご存じの「インフレ」です。

急速なインフレになった原因は、主に以下の3つです。

 

    • パンデミックによる「供給制約と需要」の回復
    • ウクライナ戦争によるエネルギー問題による原油やガスなどの高騰
    • 米中対立による世界の分断と貿易摩擦

 

特にロシアがウクライナに侵攻したことで、欧州のエネルギー危機などが深刻化し、インフレを加速させ、世界経済に大きな影響を与えています。

  • ロシアとウクライナは主要な一次産品輸出国であり、戦争によって石油や天然ガス、小麦などの価格が急騰しました。これにより、世界中の物価が上昇し、インフレを加速させました。
  • ロシアに対する経済制裁は、ロシアの経済活動と通貨を大きく圧迫し、ルーブルの暴落とインフレの高騰を引き起こしました。
  • ウクライナでは、戦争による経済破綻と物資不足により、インフレが爆発的に高まりました。
  • 戦争による地政学的不安は、金融市場や投資家の心理にも影響を与え、資本流出や金利上昇などを通じて、インフレに対処するための政策余地を狭めました。

 

参考サイト)

ウクライナでの戦争が世界地域にどう影響しているか (imf.org)

第1節 ロシアのウクライナ侵略による世界経済への影響:通商白書2022年版 (METI/経済産業省)

 

追い打ちをかけてイスラエルがハマスと戦争状態になってしまい、石油供給を巡る地政学的な緊張がさらに高まってしまいました。

これらの要因により、世界各地でモノ不足が起き、物価が急上昇しました。これが今回のインフレです。

インフレとは、物価が継続的に上昇していくことで、お金の価値が下がってしまう現象です。インフレになると、生活費や貯蓄の目減りなど、さまざまな問題が起こります。インフレ率が毎年5%ずつ上昇すると現在100万円のモノは、5年で約128万円まで上昇します。つまり、現金のまま置いている100万円のお金の実質的価値は、5年後には約78万円相当まで目減りします。

 

具体的に昨年の世界のインフレ率を比較すると、以下のような結果になります。

  • 世界の平均インフレ率は約5.0%
  • 先進国の平均インフレ率は約6.0%
  • 新興国の平均インフレ率は約4.0%
  • 日本のインフレ率は約2.5%で、先進国の中では比較的低い水準でした
  • 最もインフレ率が高かった国はベネズエラで、約3000%でした。
  • 最もインフレ率が低かった国はスイスで、約-0.5%でした。

日本は世界的には特殊なゼロ金利政策を続けているなかで奇跡的に2%台を保ちました。新興国の一部では物価高が原因でデフォルトの危機になっている現状からすれば日銀はよくコントロールしたと思いますが、それによって世界と大きな格差が広がりました。この格差についての判断は、観察者の立場や思惑によってマチマチです。

現実的には2024年以降、アメリカをはじめ先進国で金融政策の逆転現象が起こるはずで金利差は縮まるとは思います。しかしそれが物価や為替にどのくらい影響するかは予想できません。

 

参考サイト)

世界のインフレ率ランキング – 世界経済のネタ帳 (ecodb.net)

なぜインフレが起きるのか メカニズムを理解し最適なマネジメントを見出す | 政治・経済|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

 

インフレはFIRE計画にどう影響するか?

 

FIREを実現するためには、長期にわたる資金計画が必要です。58歳でアーリーリタイアした自分は、

①58歳から65歳の17年間

②65歳から80歳までの15年間

③80歳以降の3段階、計45年の計画を立てました。

もちろん計画段階で4%程度のインフレを織り込んでいたのですが、その想定を上回る状況に戸惑っています。

当然ながら運用・収益とは逆の支出についても、インフレ対策を施す必要があるのは言わずもがなです。

インフレによって公共料金、食料品、日用品などの価格が上昇します。これに対処するためには、節約を徹底することが必要です。

でも自分は支出についてはすでにかなり手を入れているので、インフレ率をすべてカバーすることは無理だと思います。

となれば、今後の中長期のインフレ率の設定を5~6%程度として、投資計画を見直さなければならない事態になりそうです。

 

インフレ率設定5%とした場合「より利率の高い投資」が必要になるか?!

 

単純に考えるならば、インフレ率上昇に対抗するためには年間5%以上の利回りが必要になります

すこしでもアーリーリタイアを調べたことがある人は、FIREの基本プランが「年間利回り4%」だと読んだことがあると思います。一般に「4%ルール」と呼ばれるものです。リタイア後の最初の年に資産の4%を引き出し、その後はインフレに合わせて引き出し額を調整するというものです。このルールに従えば、資産が枯渇するリスクを最小限に抑えられると考えられています。

 

インフレ率が5%とした場合、年間5%以上の利回りが必要になるという理由は、インフレによる資産の目減りを補うためです。

先ほどもご説明したようにインフレ率が5%とすると、100万円の資産は1年後には95万円相当になります。これを防ぐには、少なくとも5%の利回りが必要になります。しかし、これでは資産を増やすことはできません。資産を増やすには、インフレ率を上回る利回りが必要です。

例えば、インフレ率が5%で利回りが7%だとすると、100万円の資産は1年後には102万円相当になります。このように、インフレ率を上回る利回りを得ることで、資産の実質的価値を高めることができます。

 

年間利回り4%であれば、低リスク・低利回りの金融商品を数多く探すことが可能です。自分も30年近い投資経験上でも年間4%ならば実績を出してきました。

 

ところが年間5%以上の利回りを得るためには、日本国内主体にした預貯金や債券などの低リスク・低利回りの運用では不十分になり、ある程度、高利回りの運用を組み込む必要があります。

高利回りでインフレに強い資産とは、物価上昇に対して価値が目減りしないか、むしろ上昇する資産のことです。

特に今後も円安が続くならば、日本市場への投資だけでは心もとなくなります。外貨建ての資産は、インフレによって円の価値が下がっても、その影響を受けにくいか、逆に利益を得る可能性が高いので、それを組み込む必要が出てきます。

 

代表的なインフレに強い資産

  • 外貨建ての資産

  • 株式や投資信託などの有価証券

  • 金や不動産などの現物資産

 

しかし、「高リスク・高利回り運用」の名の通り、資産が減少するリスクも高くなります。

「生涯持続可能な資産運用」を希望するならば、資産元本の目減りは極力避けたいところです。

 

5% – 4%=差分1%のためには、新NISAを最大活用しましょう!

 

新NISAとは、2024年から始まる非課税で投資ができる制度です。

なにしろ儲けに対してかかる税金がゼロというのがNISAの魅力です。

その現行のNISAと比べて、24年から以下のようなメリットが加わります。

 

  • 非課税で保有できる期間が無期限になります。

  • 年間の投資上限額が最大360万円に拡大されます。

  • つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。

  • 非課税保有限度額は1,800万円となります。

  • 売却した分の非課税投資枠を再利用できます。

 

このインフレの状況では、この新NISAを最大活用すべきだと思います。

なぜなら従来想定の4%と、インフレを考慮した5%の差分である「1%の現実解」が、この20%無税である程度、相殺できると思うのです。

新NISAを5%運用で活用すれば、5年後には「1800万円×5%=毎年90万円」程度、あるいはそれ以上を得ることができます。90万円に対する所得税は通常18万円です。これがゼロになるのがNISAマジックです。支出抑制で20万円近くを捻出するのは至難の業ですよね。

これが従来通りの投資方法で可能なのですから、安易に高リスク商品に飛びつく前に、新NISA口座で無税で取得する額を最大化することを勉強したほうがいいと思います。

 

ここで大事なことは「分散投資」

 

新NISAを最大化活用するために大事なキーワードは、分散です。

「分散」には、いろいろな考え方があります。期間分散、国際分散、貨幣分散、商材ジャンル分散、商品分散・・・などいろいろな方法があります。これらを複合的に組み合わせてリスクをヘッジすることが運用の肝です。

 

特にリスクを最小限に抑える方法は、分散投資と長期投資です。

 

分散投資とは、資産を複数の投資先に分けることで、個別の投資先の変動に左右されないようにすることです。

長期投資とは、短期的な値動きに惑わされず、長いスパンで投資を続けることで、平均的な利回りを得ることです。

分散投資と長期投資を行うことで、株式や投資信託などのリスクの高い投資でも、安定的に利回りを得ることができます。

 

例えば、国内外の株式と債券に分散投資し、20年間毎月同額を積み立てると、年率2%~8%の利回りを得られる可能性が高いというデータがあります。このように、インフレ率設定5%とした場合でも、分散投資と長期投資によって年間5%以上の利回りを目指すことができます。

 

もちろん、分散投資と長期投資にもリスクはあります。

市場の状況や投資先の選択によって、利回りが下回る場合もあります。また、資産の流動性も低くなります。

したがって、分散投資と長期投資を行う場合は、自分のリスク許容度や資金計画に合わせて、慎重に判断する必要があります。

行動のポイントは、「分散投資が最大利用できる投資会社にNISA口座をつくる」ことになります。たぶん、銀行などよりは選択肢が豊富な証券会社を選ぶ必要があるでしょう。

 

すでにNISA口座を開設している場合は、移管の手続きが必要になります。移管には1か月程度の時間が必要になることを事前に知っておいてください。

 

まとめ

新NISAをFIREライフに活用するためのポイントをまとめてみます

 

具体策1 年間支出額の算出及び、年間最大投資額の決定

 

①このインフレ下で想定していた支出の総額が上振れしていると思います。年間の支出を年度単位で記録して「見える化」しましょう。

細かい単位でケチケチ買い控えをすることより、支出の大枠を「見る」ことが、支出コントロールためには有効です。

 

②同じく資産もすべて「見える化」しましょう。そして「仕訳」をしましょう。

そして緊急事態に必要な最低限の現金をまず確保します。それ以外が投資に回せる金額になります。

それを今回の新NISAの買い付けの主戦力にしましょう。

 

具体策2 ドルコスト平均法での自動買い付け

新NISAの買い付けは、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計で年間最大360万円です。

FIRE実践者は堅実に「期間分散」を心がけてください。それには定時定額の自動買い付けシステムが最適です。

自動買い付けシステムを使って、最大でつみたて投資枠を毎月1万円と成長投資枠を毎月2万円で12か月分割して累積購入しましょう。

 

そのため投資会社の条件として、「少額で自動買い付け」ができるシステムがあることが追加されます。

 

具体策3 外貨建て・外国市場を選択肢に加える

厳しく見ると、日本の経済成長率が世界のインフレ率を上回る可能性は低いと思われます。

となると、日本円建て資産は目減りしますし、外国債、外国株式市場の商品を分散投資のボックスに入れざる得ないかと思われます。

これは悩ましいところなので、皆様各々の判断にお任せします。あくまで投資は自己判断で行ってください。

多くの新NISAの解説ブログなどでは、世界分散株式ETF、アメリカ株式に特化したS&P500連動投信などを勧められているようです。

それに限らず幅広く情報を集めてください。

 

このブログでは選択肢の幅を多くするためとして、投資会社の条件として「外貨建て購入、外国市場の投信など購入」ができることが追加します。

 

その他 地政学的なリスク対策

 

この5年で起こった「危機的事態の連続」を真剣に考えてみましょう。

 

私は残念ながら、第二次大戦後から続いていた「継続的な平和モード」が終わったと感じています。

不安定な「臨戦モードへの歴史的な変換点」に入ったのだと判断しています。

とても残念なことですが、平和と戦争のモード切替は歴史的な循環です。

 

自分の人生の大半が「平和な時代」だったからといって、これから先の未来が永劫に「平和」であり続けることを保証してはくれません。

歴史的に見れば、いずれは「戦争の魔の手」が我々をとらえるのです。

それが10年後なのか、20年後なのか、50年後なのかは現在では予測できません。

 

私はそれまでは全力で「平和の時代が1日でも長く続くべく努力」することを続けます。そう願いつつも「地政学的なリスクに備える」という行動をとるということは、平和を希求する活動とは矛盾しません。

 

私は、昨年から資産の一部を地政学的な最悪事態に備えるための準備を開始しました。

具体的には、証券会社とは別に現物の「金」を扱う投資会社の口座をつくり、現物に引き換え可能な「金」の自動積立をはじめ、目標に達するごとに現物化しています。

 

よく読んでもらいたいのですが、証券会社でのリスク分散で投資信託としての「金取引主体の商品を購入している」というものと、この「金」現物を持つというのは流動性において大きな差があります。

地政学的な危機に対して、持ち運び可能な「貨幣」以外の資産を持つことを意図しているのです。

 

真摯な提案として、こうした持ち運び可能な「貨幣」以外の資産への分散投資もこの機に検討してみてはいかがでしょうか。

いずれにしても、このインフレに対して、具体的に、新NISAを最大活用して、分散投資を心がけるというのが、2024年に必要なFIRE戦略だと考えます。

 

*このブログ記事は、私の知識と検索結果に基づいて作成されました。しかしながら正確性や有用性を保証するものではありません。

投資に関する最終的な判断は、自己責任で行ってください。

 


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