「捨てる美学」は、ゴキゲンLIFESHIFTの神髄を示すコンセプトです。
それは単に経済的な側面でのミニマリストゲームではなく、ましてや断捨離とかのブームを後追いする気もありません。
「捨てる」ことこそ、人生をゴキゲンに過ごす核心だと思うのです。
「捨てることが大事だ」という概念は、長年追い続けてきた「求道学」における最大の気づきでした。
私は、常に前代未聞の挑戦がしたい。でも現在の役割・仕事・環境・家族・趣味があって、それに集中して取り組むことができない。大きなジレンマでした。そんなときに「捨てる」を主体に、モノ事を考えるべきだと思い至ったのです。
詩編「求道学」では以下のように表現しています。
万物は 立ち止まると よどみ そこから腐っていく
常に 前へ進むものだけが それを まぬがれる
常に 変わり続けるものだけが それを まぬがれる
時は 止まらず 環境は 変わり続け 足場は 必ず崩れる
常に 多くの選択肢を持つものが それを まぬがれる
常に 器を作り変えていくものが それを まぬがれる
学びは 円環
ひたすら 同じ流れを 繰り返す
識る ー 試す ー 体得する ー 捨てる
いつでも ぐるぐると 繰り返す
識る ー 試す ー 体得する ー 捨てる
そして 捨てた分だけ
また識る また試す また体得する そして また捨てる
ひたすら 同じ流れを 繰り返す
識る ー 試す ー 体得する ー 捨てる
故に 捨てるたびに 人は 新たに 学ぶ
学び編 2 捨てるたびに 学ぶ|太泉 |note
特に前職で、教育のICT化に取り組み、「変わること」に大きな抵抗を示す業界を相手にしていたので、「学び」と「捨てる」の関係論は非常に重要な考察でした。
「捨てる」と「ビジネス」にも大きな関係があります。
話題の「DX」ですが、単に「デジタル化」することだと勘違いしている方々が多いと思います。今の業務を単にデジタル化したり、ネット化するのは、DXではありません。DXは「Digital Transformation」であり、前半のデジタルよりも、後半のトランスフォーメーション(変革)のほうが重要な意味を持ちます。
DXとは、今の器を、デジタルの力で「新しい器」にすることなのです。
そのためには今のやり方を「捨てる覚悟」が必要です。
「DX」を世界中で推進しているマイクロソフトに所属していたので、DXの本質が「捨てる文化」であることを実感しています。
一例をあげると、4年前にマイクロソフトは花形の営業部門を大きく捨てました。社員に対して「捨てた」わけでなく、コンセプトを捨てたのです。実際には丁重に多額の早期退職金をつけての解雇ですし、彼らがほかの部門に移りたいと希望すればチャンスは開かれていました。
当時の報道では、「マイクロソフトの危機」というフレーズで語られたのですが、内実は違います。それは本当の意味での「DX推進」のためでした。
会社は、従来の稼ぎ頭で高額所得の営業メンバーを捨てて、テレセールスの若い営業部隊を新設しました。
そして宣言しました。
「これからは、AIが市場を分析して、世界中で”今日売れるプロダクト”を”今日なら買いたいと思う顧客”にジャストインタイムで紹介していく営業手法にする。そしてそのメンバーは電話セールスだけで、営業訪問はしない!」と。
こうしてビッグデータを活用して、AIによって市場を分析し、それを忠実に実行する電話によるリモートセールスというデジタルマーケティングを、4年前に導入したのが、マイクロソフトのDXでした。
そのために、従来の稼ぎの主体だった直接営業を「捨てた」のです。
そして、この変革はまさにパンデミックを先回りしていたので、リモートで営業が完結する形態に進化していたマイクロソフトは、コロナでリモート活動になっても業務にダメージを受けませんでした。
加えていうなら、4年前にこれを実現していたため、マイクロソフトのリモート販売イノベーションは、今後のDXの方向として正しいことが証明されました。それが一番のセールスポイントになって現在、リモートプラットフォームのTemasを主体に、マイクロソフトは過去最高の業績を記録し、株価も向上を続けています。
この中心に「捨てる文化」があります。
躍進するグローバルIT企業に所属してみて痛感したのは、「成功体験を捨てる仕組みが、組織に内在している」という事実でした。
逆に言えば、その前に30年間務めた「パイオニア」という日本の家電企業には、「捨てる文化はなかった」のです。
だから今、パイオニアは世間から存在意義がなくなってしまったのだと思います。
かつてはスピーカー→ステレオ→レーザーディスクー→プラズマディスプレイ→HDDレコーダー→カーオーディオ→カーナビとヒットを連発していた企業が、わずかな期間で地盤沈下していく理由は、自らの成功体験におぼれ、変わることを恐れ、捨てることができなかったからだと思います。
逆に、マイクロソフトでは、常に変化を望み、その変化を自社に取り組むために、成功した(むしろ成功している最中の)名門部門ですら、捨てる判断を即断する志が組織全体に浸透しています。
彼らはそれを「グロースマインドセット 」と呼びます。成長するため社員全員に求められる心構えです。
さて、ビジネスでは捨てる文化を持っている企業が、好調を継続し続けることができることがわかったところで、それを自分の人生にあてはめることができるかを、自分自身に問いましょう。
あなたは、自分の人生の成功体験を、潔く「捨てる」ことができますか?
それができるかどうかが、ゴキゲンLIFESHIFTの神髄だと、先に申し上げたことの意味がここにあります。
私は、自分の人生の成功体験を潔く「捨てる」方針で、52歳でパイオニアを去り、58歳でマイクロソフトから早期退職しました。
それが私の「グロースマインドセット 」でした。
他人からは、冒険すぎる、無謀だ、人生をなめている、うまくいくはずがないと言われ続けてきたことも付け加えておきます。
あなたは、いま、うまくいっている人生を、その先の可能性のために、捨てて、刷新する勇気がありますか?
万物は 立ち止まると よどみ そこから腐っていく
常に 前へ進むものだけが それを まぬがれる
常に 変わり続けるものだけが それを まぬがれる
この「捨てる美学」については、とても大事なので折に触れてお話を繰り返していきたいと思います。
グロースマインドセットを学ぶなら
“【人生100年時代のLifeshift】FIREするには 捨てる美学 人生の成功体験を潔く捨てる 求道学” への1件のコメント
[…] […]