知識のシャワー 新分野に挑戦するときには図書館で50冊目を通す LIFESHIFTハック

事業プロデューサーとして、新規のプロジェクトに関わるときに、必ずすることは、そのテーマに関することをまず図書館で調べることです。
私はその方法を「知識のシャワー」と呼んでいます。

問題は、その物量です。これはその後、そのテーマにおけるアプローチの「出汁」になるものなので、できるだけ多いほうがいいです。50冊以上、できれば100冊以上だと、その後の作業が捗ります。

自分のやりかたは、図書館に行って、関連キーワードで検索した書籍を、開架図書から集めたり、地下倉庫から引っ張り出していただき、ざっとテーブルに拡げて、簡単に分類してタワーをつくります。

こうして実際に本物の本を積んでみると、そのテーマの周辺の知識マップが立ち上がります。

また、この段階でそのジャンルのお作法みたいのがなんとなく理解できます。本の種類はどんな感じか、写真はカラーなのか白黒なのか、大きな図版モノなのか、新書なのか、小説が多いのか、ノウハウ本が多いのか・・・などによって、そのテーマが所属している分野が持つ性格みたいなモノが見えてきます。

一度ではテーブルに並び切らないので、順にやっていって、大体100冊前後やれれば、かなりいい成果が期待できます。できれば50冊以上は集めてきたい。ジャンルによって、そこまで蔵書がないテーマの場合が多いです。その場合、関連ジャンルにも収集範囲を広げてみます。

こんなことできるのは、物量的にも、金額投資的にも、図書館だけで、個人では無理です。図書館でも地元の小さな図書館では集まらないので、自治体の中央図書館など、なるべく大きい図書館に行きます。
テーマによっては、専門の図書館があり、そこに行くととても効率がよかったりするので、出かける手間を惜しみません。
専門図書館は専門知識を持つ人が司書をしているので、こんな調べ物をする奇特な人間にはかなり興味を持ってくれて、とても親切に指南してくれます。

テーブルに展開したジャンルタワーで、テーマにおける、その領域の大枠を把握した後は、ジャンルタワーごとに、出版年度で最新の書籍と、反対に一番古い書籍を手に取り、「目次」に目を通します。

この新旧の「目次眺め作業」で、テーマにおける「知識の系統樹」をつくるイメージです。

ここで、目次を見ながらもう一つ重要なのが、その業界の「ジャーゴン」、専門用語や言語体系をサッと理解することです。

これが様々なテーマに次々と挑まなければならない事業プロデューサーにとって、とても重要なスキルです。プロデューサーの仕事は実際のところ「通訳」です。専門知識と専門知識の間に橋をかけて、交流させるのがプロデューサーの仕事だと考えています。なので、その領域の言語が持つ特殊性を理解しておくことは、とても重要です。

今後、インタビューする相手や交渉する人に、こちらがそのテーマをある程度調べてきており、そのジャンルに興味があり、専門的なワードをいちいち説明しなくても済む、思ってもらえると、その後のやりやすくなり、つながりが強くなるのです。
そういう相手に知ったかぶりは嫌われますが、まったく勉強をしてきてない奴も嫌われます。
正直にいうと、勉強したうえで「知らないふり」をする位が、交渉としては良い立ち位置になることが多いです。

新旧の目次に目を通し、専門用語を抽出し始めると、キーワードの変遷や、それによってそのジャンルの流行が多少見えてきます。トレンドがまだ見えない場合は、さらに数冊の目次に目を通します。

次に、自分の既存知識に照らし合わせて、まったく想像もできない項目とある程度理解出来る項目を分類します。

そして、今の自分には想像もできない新しい知識が書いてある本を流し読みします。パッパッって感じで、全ページをめくります。パッパッとでいいです。

その中にも既知の知識と未知の知識があるので、未知の部分を再度、スローダウンしてめくります。

ちなみに、こんな知識のシャワー訓練を30年も続けていると、かなりのジャンルを目次だけはみているので、知識がどんどんリンクしていきます。そうすると、目次だけで済む本が増えていきます。

ここで、全く知らない内容だと直感した本をジャンルタワーから選り分けます。すべてのジャンルの選り分けた本を並べて、ゆっくりと手に取ります。

ここまでは、読むというより眺める、パッパッと目を通すというレベルなのですが、ここから「読む」という時間をかけたアプローチに代わります。

この段階くらいで、そのテーマについて、当座に学ぶべき道筋は大体見えてきています。そしてその知識を獲得するための時間にも目算が効きます。
なので、その道筋の順番に、少しスローダウンしたスピードで流し読みして、本に再度目を通します。1冊10分以内でいいと思います。

数ページを読んで、図書館で今日中に読める物量なのか、貸し出しをして、家でゆっくり熟読するかを悩みます。

貸し出しして家で読む本は、だいたい一度で決まらないので、仮置きしながら、何度かチョイスをし直します。

ここまでで、頭の中にそのテーマのイメージが相当できていますので、大体貸し出し図書は10冊以内だと思います。2週間かけて、熟読し、その1冊の内容をA4一枚の図にまとめてみると、大体の知識は固定できます。これが1冊1枚アプローチです。この方法はまた別の機会に紹介します。

 

 

最近では、こうした情報収集をネットだけで行う人が多いのですが、ネットの情報は玉石混交。雑音が多くて、作業効率が悪いと思います。

その点、図書館にある本だと、図書館司書の方々のスクリーニングを受けているので、社会的な価値を担保されている情報が並んでいます。このスクリーニングを使わないのは、もったいないと思います。

ただ情報が紙に印刷され、図書館に保存されるまでにタイムラグがあるので、この方法で知識のベースをつくり、その後で最新の情報をネットでアップデートしています。


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