アフターコロナで目指すべきは「真摯、丁寧、余裕がある、整っている粋な大人」 

人生の意味と目標

 

人生の意味や目標について、コロナ以前と以後では、大きく変容すると思います。
がむしゃらに働き、家族も自分の精神も犠牲にして仕事漬けだった人生。
娯楽も趣味もなく、スマホとAmazonでストレスを発散していた日常。
毎日3時間の地獄の通勤時間、上司から自己研鑽しろと強制される勉強や資格取得 … 

パンデミックが収束したら、「あの日々に戻りますか?」と質問したら、多く人は、それとは別の新しい生活を希望すると思います。

想定外にも、リモート生活で手に入れた、家族との会話、毎日の料理、ゆったりした夕食、好きなことに費やす余裕、温かい団らん …

この「自分の時間が増えたような感覚」を、「どうやってコロナの終息後に維持するか」、これは日本でも、世界でも、大きなテーマになると思います。

今回は、アフターコロナで求められるライフスタイルは、どんなキーワードになるのかを考えてみました。

 

いきの構造

さて皆さんは、哲学者・九鬼周造が提唱した「いきの構造」をご存じですか?
それは「江戸時代の遊郭における美意識である「いき(粋)」を西洋の現象学の手法で把握しようと試みた画期的な「モテの分析」です。

そこでは驚くべきことに、吉原において遊女から「モテる条件」を、派手-地味、上品-下品、渋味-甘味、意気-野暮の8要素に分解し、それを八角形のレーダーチャートにするという、極めて現代的な手法が使用されているのです。

詳細はこちらで

九鬼周造 – Wikipedia

九鬼周造の「いき」の構造とは。かんたんに、わかりやすく、解説、要約する。 | コテンto名著 (kotento.com)

今回はこの九鬼周三の「モテのレーダーチャート」を活用して、コロナ以前のキーワードとコロナ以後の変化を分析してみました。

ただ、私は自分のテーマである「ゴキゲンLIFESHIFT」の方向性を見極めたいのであって、単に異性にモテたいのではないので、誤解なきように。
これを援用して、今後の時代の気分をあぶりだせたらといいな、という思考実験を試みます。

 

1.派手-地味 = 「人間性のあり方」分析

コロナ前は、派手な生活を「リア充」としてSNSで披露するのがトレンドでした。
リアルの交流がなくなったコロナ以降、この感覚は大きく変容しています。
時代は派手な生活顕示欲から、より質実剛健で、まじめな地味な方向に動いているようです。
ただ、単に「ジミー!」となると、極端にダサくなります。

そこで出てくるのが「丁寧」、「真摯」という感覚だと思います。最近の女性誌では、こうしたライフスタイルの特集が大流行りです。

情熱をもって長い時間をかけて作業して丁寧に仕事をしていることを、正直に容認する感覚です。軽薄短小が求められ、大量生産・大量消費を前提とした時代にはこうした非効率な姿勢は軽視されていましたが、いまは価格が高くても「丁寧に仕事している道具」を長い間使用したいという方向で評価されてきています。これらは時代の気分としては、単なる地味ではなく、「素敵」なのです。

今後の人間性のあり方は、「丁寧」、「真摯」というキーワードに注目。


2.上品-下品 = 「人間性の評価」分析

 

貴族文化も江戸文化も同じく下品を嫌いました。日本人の感覚として現代でもそれは大枠で変わらないですが、最近では多少下品でダサい部分を「オチャメ」、「キモかわいい」という形で、からかい半分に評価する傾向がありました。

これは今後、落ち着いた家庭生活主体になることで、より上品なセンスをもとめる方向に修正されると予測しています。なぜなら刹那の交流ではなく、一緒に暮らす人に対して、上品さと安定感を求める時代になったと思うからです。

今後、人間性については、「品がいい」、「上質」を求める傾向にある。


3.渋味-甘味 = 「異性・周囲に対するあり方」分析

 

異性に対しての在り方は、昨今、LGBTなどを含めて大きく変化しています。ハラスメントに気を遣うあまり、へりくだった甘味に近づく傾向があります。ただ、へらへらと優しくすればいいかというと、それは異性からも周囲からも「うざい」という最悪の評価をされます。

九鬼の分析を借りれば、ここでの態度で一番有効なのは「渋み」です。つまり「余裕がある」ことです。

等距離を保ち、誰に対しても平等で、状況の処理に「ゆとりがある」人が、周囲から好感をもたれるのではないでしょうか。マインドフルネスのようなムーブメントにもこの落ち着いた感覚が見えてきます。

今後は、「余裕がある」、「ゆとりがある」ことが周囲から求められる

 

4.意気-野暮 = 「異性に対する執着」分析

 

九鬼分析のポイント、日本文化の注目点がこの点なのです。九鬼は「相手への執着を断つ「諦め」と自分への「意気地」に世界でも稀なる高貴な「いき」を配置」してみせました。そして日本の独自性を、「異性に対する付かず離れずの美学」にあるとしました。

この感覚は、モテに走る現代とはかなり乖離がありますが、行き過ぎたモテの反動で、異性にたいする「諦観」がトレンドになる予感もあります。

若年層の恋愛拒否、恋愛感情をいだかない無性愛「アロマンティック アセクシャル(aromantic asexual)」や、2次元愛のような感覚も、ここからきているような感覚があります。

「モテたくて必死過ぎて、笑える」という過剰な恋愛志向を拒絶する気分です。

 

そこで見えてきたのは、異性に対して「アセッていない」、「いい意味でヌけてる」という雰囲気です。

異性にモテたい執着行動は「野暮」でストーカーチック、だけどSEXYな振る舞いや過剰なアピールも意気じゃないとしたときに、求められるのも「余裕」や「ゆとり」なのかもしれません。


もしかしたら、恋愛よりも仕事や趣味などの他に執着している分野があることが「あこがれ」につながる時代なのかもしれません。

今後、異性については、「いい意味で固執しない」ことが求められる。

 

整っている、粋な大人の風土


以上、4つの分析からみえてきた、アフターコロナの時代の傾向ですが、分析してみて自分には、全体的に「大人の風土」になるような気がしました。

いままでのトレンドは若年であればあるほどリードしていたので、みなが「若くなりたい」、「成熟したくない」、「いつまでも大人になりたくない」という感覚が蔓延していました。

ところが、実際に深刻な疫病が蔓延して、前代未聞の状況に追い込まれたときに若いことは弱点にしかなりませんでした。

そこで求められたのは、「前代未聞の事態にも果敢に社会課題を解決していく勇気」と、「離れた状況、違う時間でもゆとりをもって対応してくれる豊かな包容力」や、「家族と過ごして、愛する人々と豊かな時間を過ごす安心できる人格」でした。
まさに安定した大人の諸要素です。

分析から見えてきた「丁寧」、「真摯」、「品がいい」、「上質」、「余裕がある」、「ゆとりがある」、「いい意味で固執しない」というキーワードは、自分がこれから追及していくゴキゲンLIFESHIFTの重要なポイントになると思っています。

そこで、これらを統合したビッグコンセプトを「整っている、粋な大人」として、今後の自分が目指すべき方向にしようと考えています。
いかがでしょうか。


コメントを残す