美記憶活動として毎年恒例でまとめている「マイ・ベスト3」
シニア起業を果たした2023年も、いろいろなことを体験し、それぞれに真摯に向き合いました。
書籍、ドラマ、アニメ、TV、エンタメ(今年は映画の受賞なし)、美記憶、体験の各部門でその年の私的なベスト3を決めています。
書籍部門
今年は、起業関係で精神的に余裕がなかったのか、老眼で読書がつらくなったのか、24冊を読みましたが、ほとんど起業関係専門書でした。
小説は村上春樹「街、その不確かな壁」くらい、中世の研究書と「平家物語」が収穫かな。60代は少しづつ古典を読んでいきたいと思います。
書籍部門1位「Die With Zero」ビル・パーキンス
DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール | ビル・パーキンス, 児島 修 |本 | 通販 | Amazon
「人生とは、経験の合計である 。経験は私たちに、尽きることの記憶の配当を与えてくれる。それにより、私たちは雪だるま式に幸福になれる」
この本はこの金言に代表される。自分のアーリーリタイアをした時の想いをしっかりと定着してくれた1冊。収入を増やすこと、お金を残すことが人生の価値ではない。それを「人生の経験」や「家族の幸福」のために使い切ってこそ、人生に意味があるという主張です。
読後、自分こそ「資産を残さずゼロまで使い切って死ぬ」というある種のゲームを楽しむことを人生の最後のトライとしようと思いました。
人生で一番大事なことは思い出をつくることだ。
というコンセプトは、そのまま「美記憶」と符牒していて、今年めぐり合うべき1冊だと確信しました。
書籍部門2位「ビジネスの未来」山本周
ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す | 山口 周 |本 | 通販 | Amazon
日本の30年に渡る「低成長」に対する偏見にパラダイムシフトを与えてくれる1冊。いますべきことは、「経済成長」という不毛なゲームに延命措置を施すことではない。ではどのように未来に向けた第一歩を踏み出すべきなのか、その答えとして筆者は、4つのサマリーを掲げます。
1. 私たちの社会は、明るく開けた「高原社会」へと軟着陸しつつある
2. 高原社会での課題は「エコノミーにヒューマニティを回復させる」こと
3. 実現のカギとなるのが「人間性に根ざした衝動」に基づいた労働と消費
4. 実現のためには教育・福祉・税制等の社会基盤のアップデートが求められる
山口氏いわく、人類は古代から挑戦して来た「物質的不足への解消」を達成し、新たな課題である「高原状態への軟着陸」を求められている。ここに現れるのが「コンサマトリー経済」。コンサマトリーなどと言う外来語だと認識できなかったけど、読後に、これは自分がこのブログで提唱してる「ゴキゲン×ヤリガイ活動」そのものだと納得し、同時代感覚で胸落ちした。
書籍部門3位「START UP 優れた起業家は何をどう考えどう行動したか」堀新一郎他
STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したか (NewsPicksパブリッシング) | 堀新一郎, 琴坂将広, 井上大智 |本 | 通販 | Amazon
「ゼロから事業を作り出すノウハウは一部のVCと起業家の間でのみ共有されていた。そのノウハウをこれからの起業家のために共有したい」という著者の提案に賛同した先輩起業家の協力によって生まれた「次世代起業家のためのバイブル」というフレコミ。
「グランアニバーサリー」へのピボット判断をしたまさに今年、同じステージで悩んだ経験のある先輩の生の声を聴けたのはありがたいことでした。
TV部門
TVに関する興味はいまでも失われていなくて、YOUTUBEやAmazonPrimeの時間が長くなってきたとは言え、ドラマとアニメの毎シーズンチェックも欠かしていません。ということで、今年もドラマ、アニメ、ドキュメンタリーと3部門を選びました。
全体に感じたのは、「親ガチャ」とか、「リセット」とかの言葉に続く、近頃の「異世界ストーリー」や「タイムリープもの」の流行の裏には、固定化された「格差への怨恨」があるとみています。この手の作品が目立つ2023年のラインナップになりました。
ドラマ部門1位「大奥」 NHKドラマ10
「きのう何食べた?」のよしながふみと、「大奥」のよしながふみが同じ人だと知らなかった!(笑)。今回、初めて知りました。
NHK版はフジテレビ版「大奥」とはかなり違う出来になりました。これではじめて通して、原作のすべてである江戸開闢から倒幕までの流れを通しで観ることができました。「男女の入れ替え」という初期発想が目立ちますが、実際には「赤面疱瘡」という疫病と戦う歴史絵巻でした。この疫病との真摯な闘争の歴史が見事に人間の本質を描いていました。コロナ後にこれをリバイバルしようとしたNHKスタッフは見事としか言いようがないです。源氏物語だと思ってみたら、吾妻鑑だったという印象です。なにしろ八代将軍を演じた冨永愛の起用が成功要因。
ドラマ部門2位「ブラッシュアップライフ」 NTV日曜10時
日曜ドラマ『ブラッシュアップライフ』|日本テレビ (ntv.co.jp)
バカリズムが大爆笑のタイムリープストーリーをモノにした! 時間差小ネタ炸裂で笑わせた前半から、TVの内輪物の中盤、まさかの大掛かりな伏線回収へ!年末再放送で一挙に見直せたことで、さらに理解が深まりました。
「タイムリープもの」になるのですが、裏側にある「固定化された格差への怨恨」に対して、この作品が描いた「小社会の小さな幸福を守る」というのは、一つの出口への回答なのかもしれないと、感じました。幸福の基準なんてないんです。平均的な幸福家族もないんです。あるのは自分自身が信じた「幸福の幻想」があるだけ。だから、みんなそれぞれに幸福だと思えばいいのです。そのささやかな幸福を精一杯守ればいいんです。
ドラマ部門3位「最高の教師」 NTV 土曜10時
最高の教師 1年後、私は生徒に■された|日本テレビ (ntv.co.jp)
3位は、フジの「いちばん好きな花」と悩みましたが、連ドラらしい次の週が楽しみになる工夫で「最高の教師」を取りました。
2位と同じくタイムリセットモノです。一度死んで「使命」に目覚める教師、自分の運命を知りながら真摯に生き抜く教え子。感動しました。思えば学園ドラマも、かなり描きにくくなったものです。
正直、いじめを学園内の問題として解決するのはもう無理だと思います。このドラマのように、現場を撮影して、収録して、それを証拠に犯罪立証したりすべきだし、ネットいじめ被害もホワイトハッカーなどを採用して大掛かりな犯人捜しをして損害賠償を求めるべきです。今の子供たちは、そういう21世紀的な現実の世界を生き抜いていかなければならない世代なのだから。元いじめられっ子からの提案です。
アニメ部門1位 「青春ブタ野郎は●●●の夢を見ない」シリーズ
アニメ「青春ブタ野郎」シリーズ ポータルサイト (ao-buta.com)
これは、見逃してました!2018年から第1シーズンが放送されていたとのことですが、タイトルがタイトルだけに全くノーチェックでした。映画公開が2作連続で今年あったことで、話題になったので、試しに第1話から見てみたら、本気でハマりました。映画を見たうえで、3度まで繰り返して視聴し、遂にはブルーレイまで購入してしまいました。
「思春期症候群」というSF要素を媒介にして、現代の若者が抱える心の闇を描き出しています。作者の鴨志田一は、かなり達者な人ですね。すべての伏線が見事に回収されていきます。それも感情を揺さぶる形で。回収されたときにその伏線に気が付かなかった自分自身が「あっ!」って叫んじゃうくらい見事に登場人物の心を回復して、癒していきます。淡々としたやり取りにも、いろいろな伏線が張られています。
過去10年でも上位に入る作品です。なにせ普通ならダントツ今年度1位の作品を抑えて、自分の中のナンバーワンなのですから。観てない人は絶対に観てください。
アニメ部門2位「推しの子★」
この作品、90分スペシャルからスタートしたのがよくわかりました。それがゼロ話扱いで、アイが死んでからが第1話なんですね。
「赤坂アカ×横槍メンゴ」のコンビも鴨志田一クラスの仕掛け人ですね。緻密な伏線が張られていて、それをちょっと繰り出しては回収、またすこし繰り出しては回収と繰り返して、最終的にはお見事な展開を成し遂げていくんでしょう。
そういう意味で、これもタイムリセットです、来年の第2期が異常に楽しみです。まぁ、普通には圧勝で今年度1位ですよ、でも、そういう当たり前のベスト3は、ほかの人にお任せします。
アニメ部門3位「呪術廻戦2」
TVアニメ「呪術廻戦」公式サイト (jujutsukaisen.jp)
この作品に関わった人は「幻魔大戦」に呪われた平井和正のことを知ってるのでしょうか。この地獄絵図に巻き込まれたらたぶん普通の生活できないんじゃないかな。リアルにX(Twitter)で現場からの悲鳴があがっていたようですし。
アニメの制作工程がデジタル化された後いったん改善されたアニメ界のブラック企業化が止まったように見えましたが、アーティストのあくなき欲望がどうしても暴走してしまうんですよね。このダークな世界で、クオリティにここまでここまでこだわると無間地獄のようだと思います。でも見てるほうからしたら、圧倒的なアクションシーンの連続でした!「あっけにとられる」とは、まさにこの作品の怒涛の展開のことだと思います。
ドキュメンタリー部門1位「映像の世紀 バタフライエフェクト」 NHK
昨年から続いているシリーズですが、毎回のクオリティが非常に高く、いまでも語り継がれる昭和の「映像の世紀」のレベルに近づいていると感じます。今回の「バタフライエフェクト」はその名の通り、一人の人間の行動が、いろいろな時代、いろいろな人に波及していくバタフライ効果をテーマにしていて、まさに映像をつかった壮大な叙事詩になっています。
ドキュメンタリー部門2位「世界サブカルチャー史 欲望の系譜」 NHK
アメリカとフランス、日本のカルチャー史を並行で俯瞰することで、自分たちが生きてきた60年代から2000年代を自分に落とし込んで考えていける思索的な試みでした。この時間の流れの中で、自分の関心がアメリカ中心から、日本中心に軸を移し、サッカーブームに乗って視点が急にグローバル化され、その中でのサバイバル戦略として「アニメ、マンガ、ゲームなら文化輸出できる」と確信した若き怒涛の日々が思い起こされました。じぶんにとってのそうした移り変わりが、歴史として固定されていく、この2020年代において、60年生きてきたとはそういうことなんだと思います。
ドキュメンタリー部門3位「ジブリと宮崎駿の2399日」 NHK
ジブリと宮﨑駿の2399日 – プロフェッショナル 仕事の流儀 – NHK
クリエイターしての「狂い方」と「仕舞い方」を考えさせられる番組でした。宮崎駿は、最後の最後まで師匠の高畑勲を追い越そうともがき苦しむ弟子なのでした。高畑勲の最後の作品があの狂気の「かぐや姫」であるならば、たぶん宮崎駿の最後の作品が、「君たちはどう生きるか」や、いわんや「風立ちぬ」ではないと思います。「かぐや姫」の狂気を越えたもっと狂った作品を目指すでしょう。そうして、彼は最後の最後まで狂うしかない人生なのだとこのドキュメンタリーを見て悟りました。
ある種の狂った部分がなければクリエイターではないわけですし、その狂った=非常識な部分を通常の社会人の視点から見たら「異常」なものであることは当たり前です。芸術にせよ、エンタメにせよ、我々は「普通のもの」には感動しないのですし、お金をいただけるものは常に「非常識で、新奇な、異常なモノ」なのです。
エンタメ(映画含む)部門
昨年までは、映画部門とエンタメ部門を2つにして選んだり、1つに統合したりしてたのですが、なんと今年は映画がベスト3に入らないという異例の事態になりました。これでも映画は全部で15本見たのですが、なんとも不作でした。あえて候補作だった作品として「ゴジラ-1」、「ナポレオン」、「クリエイター創造者」、{BlueGiant」などを挙げておきます。
エンタメ部門1位「寺尾聰クリスマスディナーショー」
参考blog)
プレミアムクリスマスディナーショー2023“寺尾聰” 新横浜プリンスホテル (princehotels.co.jp)
人生の夢のひとつが叶いました。YMOのライブがもう見ることができなくなったので、このタイミングで寺尾さんのライブをみれて感動しています。
エンタメ部門2位 舞台「ハリーポッターと呪いの子」
芸能とテクノロジーが融合すると「魔術」になるのだと実感しました。お見事です。お話も原作者がしっかり後日談として描いていて、大人になった主人公たちの2世代物語として楽しめました。
エンタメ部門3位 講談「神田伯山独演会」
松之丞時代からラジオを聴いていたのですが、講談を高座で聴く機会がなくて今年やっと体験できました。落語とは別の話芸の世界に魅了されました。彼は神田伯山を襲名してからは、意識して、より「講談復活」を体現していると思います。今後、落語復活を成し遂げた立川談志のような存在になると思っています。
ちなみにラジオの話芸とは別物の本格派です。
美記憶部門
ここからは自分史や美記憶に関するプライベートなパートです。結構、ブログなどで書いたことなので、記事を紹介しながら短くまとめます。
体験部門1位「グランアニバーサリー/ ペルソナファミリー撮影会」
こういう形でいうのはなんですが、昨年「うつわと料理のマリアージュ」を志してシニア起業して、実際にはほぼなにも実績を出さないままにピボット判断をして、日常のサービスから非日常のハレの日のレンタルサービスにピボット判断をしました。
そこにはもちろん投資の問題があり苦渋の選択でした。でも、新たに設定したペルソナのご家族にヒアリングをして、さらにモデル撮影をさせていただいたことで、自分の中で確信が芽生えてきました。
それをみんなでWEBとして「見える化」できたことで単なるアイデアが、世界に不可欠なサービスに昇華できた気がしています。
それを試す1年が始まります。さぁ2024年はどんな冒険になるのかな。
体験部門2位「聴くレッスン Yellとコテンラジオ」
今年はコンサルティングの勉強と思って重点的に「聴く練習」をしました。特にYellという団体の聴くサポーター活動は大変勉強になりました。そこで学んだ「Without Judgement」という概念は、傾聴とも違う形で「対話をコントロールするスキル」でした。
YeLL(エール)|社外人材によるオンライン1on1 (yell4u.jp)
もうひとつ聴くという意味では、ポッドキャストを聴き始めました。世間ではクラブハウスなどの個人ラジオが流行ったりしましたが半信半疑だなぁと思っていたら、仙川書斎で若い人たちから「コテンラジオ」を勧められました。聴き始めたらハマりました。これこそ「教養」だと思いますます。延長で「超相対性理論」という番組も並行して聴いています。
これらの番組の教養レベルは、マスの平均値を意識せざる得ないNHKのレベルをも上回っていると思います。聴き続けると自分が新しい知的コミュニティに参加した気分になれます。
COTEN RADIO | 歴史を面白く学ぶコテンラジオ | 株式会社COTEN
体験部門3位 ボランティア 社協よつば陶芸講師
一昨年末に急逝した母への恩返しの意味で、高齢者施設での陶芸講師のボランティアを始めました。
いつか陶芸で身を立てるという夢が、別の形で実現したようです。
秋に焼きあがった作品を生徒さんにお渡ししたときに充実感を感じました。これはヤリガイを感じる活動でした。
参考blog)
次点
「東京シニアビジネスグランプリ ファイナル選出」
この件については、来年の本大会で好成績を残して、ら2024年のべすと3で語りたいです。
https://www.tokyo-kosha.or.jp/station/grandprix/index.html?fbclid=IwAR2vFzJo3ibDParfTghPQsQrGBXpi5hMsygYtOQ_i57oSXu8xbyUwcdvNXk
美記憶部門1位「還暦感激グランアニバーサリーHAWAII」
参考blog)
https://note.com/dishapp/n/n78872c15a1ed?magazine_key=m9e181e4a5844
グランアニバーサリーの活動につながる自分の還暦祝いでした。この旅で、自分のなかで20年間考え続けてきた「美記憶」というコンセプトと、DishApp合同会社の活動が完全に一致しました。もともと会社を興す時にどちらにするかを悩んだ2代テーマだったので、ここで統合できたのはうれしい誤算でした。そういう意味でも、非日常の体験はすべきだし、旅には行くものです。
美記憶部門2位「結婚30周年記念 加賀・金沢グランクラスツアー」
還暦と結婚30周年という人生イベントが続いた2023年を代表する旅になりました。今年は春に広島・厳島神社旅行もできたし、満足な美記憶イヤーでした。
参考blog)
美記憶部門3位自分史 My Project-graphyをまとめた話
60歳になったら一番やりたかったことが、これまでのソーシャル活動を自分史としてまとめる作業でした。
このブログを発表の場としてまとめあげることができたのは、今年の大きな収穫でした。
参考blog)
My Project-graphy 自分史美記憶 プロデュース作品集としてソウルメイトとの協働の歴史をSNSを活用してまとめてみた